円安水準が経営に「マイナス」との回答企業は54.4%

 東京商工リサーチ(TSR)が発表した「円安に関するアンケート調査」結果(有効回答数5174社)によると、5月末の「1ドル=156円前後」の円安水準が経営に「マイナス」と回答した企業は54.4%だった。前回調査(2022年12月実施、「1ドル=138円前後」)の47.4%から7.0ポイント悪化した。「プラス」は3.8%にとどまり、現在の円安水準は企業の半数以上にマイナス影響を与えている。「影響はない」は30.2%だった。

 規模別でみると、「マイナス」は大企業が49.5%なのに対し、中小企業は55.0%で、中小企業が5.5ポイント上回った。前回調査では、大企業が44.0%、中小企業が47.9%で、それぞれ5.5ポイント、7.1ポイントずつ悪化した。「マイナス」影響の企業の割合の増加幅でも、中小企業が大企業よりさらに深刻だった。一方、「プラス」は大企業が7.4%で、中小企業の3.4%を4.0ポイント上回った。

 産業別でみると、「マイナス」影響の割合が最も高いのは、「小売業」の66.2%。以下、「卸売業」の62.9%、「農・林・漁・鉱業」の61.5%、「運輸業」の58.6%、「製造業」の58.0%まで、5産業が全企業の54.4%を上回った。輸入商品の仕入れコストが増加する小売・卸売業に加え、飼料や燃料を輸入に頼る農・林・漁・鉱業や運輸業にも円安によるマイナス影響が広がっている。

 2024年度の想定為替レートは(回答1747社)、5円刻みのレンジで、最多が「150円以上155円未満」の33.2%、次いで、「155円以上160円未満」の17.5%。年度ではさらに円安が進み、「1ドル=160円以上」を想定している企業も19.8%と2割近くにのぼった。規模別では、想定為替レートを「1ドル=160円以上」としている大企業が8.2%に対し、中小企業は21.2%。中央値は、すべての規模で「1ドル=150円」だった。

 望ましい為替レートについては(回答2208社)5円刻みのレンジで、最多が「120円以上125円未満」の28.3%。2022年4月を最後に、2年以上「1ドル=125円未満」以上の円高には振れておらず、為替レートにおいては厳しい状況が長期化している。以下、「130円以上135円未満」が18.4%、「110円以上115円未満」が9.7%の順。今年5月末頃の「1ドル=156円前後」が含まれる「155円以上160円未満」はわずか0.7%にとどまった。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198676_1527.html