夏のボーナス支給額は平均2.0%増、規模間格差が顕著

 厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」によると、所定内給与は、前年同月比 2.3%増と約30年ぶりの高い伸び率となった一方で、物価の変動を反映した実質賃金は、過去最長の25ヵ月連続で減少する結果となり、依然として物価の上昇に賃上げが追いついていない状況が続く。名目賃金の上昇にも関わらず実質賃金の減少が続き、個人消費への下押し圧力が強まるなか、夏のボーナスが消費を上向かせることができるか注目が集まっている。

 帝国データバンクが発表した「2024年夏季賞与の動向調査」結果(有効回答数1021社)によると、2024年の夏季賞与の支給状況は、「賞与はあり、増加する」企業の割合は39.5%となった。「賞与はあり、変わらない」は34.2%、「賞与はあるが、減少する」は11.3%で、合計すると、『賞与あり』の企業は 85.0%となり、前年(83.1%)から1.9ポイント上昇した。一方で、「賞与はない」企業は10.3%(同▲0.9 ポイント減)だった。

 規模別に「賞与はあり、増加する」企業の割合をみると、「大企業」は前年比4.9ポイント増の47.2%となり、全体(39.5%)を7.7ポイント上回った。他方、「中小企業」は同1.7 ポイント増の38.2%、「小規模企業」は同1.9 ポイント増の 29.2%と、「大企業」よりも小幅な上昇にとどまった。また、「小規模企業」では、夏季賞与が「増加」企業の割合が全体より約10ポイント低くなっており、依然として企業規模間に格差がみられる。

 2024年の夏季賞与の従業員1人当たり平均支給額は、前年から平均で+2.0%だった。前年(+2.4%)を0.4ポイント下回った。規模別にみると、「大企業」は+4.1%で、前年からは0.6 ポイント上昇したが、他方、「中小企業」は前年から0.5 ポイント低下して+1.7%となった。「中小企業」の増加率は「大企業」を2.4 ポイント下回っており、規模間格差が目立つ結果となった。

 帝国データバンクは、「賞与支給予定の企業は多いものの、今後はエネルギー価格の高騰に対する政府の補助金の終了などによる電気代の値上がりや、円安の進行などを背景とした食品の値上げなどにより、消費拡大への効果は限定的にとどまる可能性もある。物価の高騰に負けない賞与を含む賃金の上昇、および「持続的な賃上げ」が実現できるかが注目されている」とコメントしている。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240604.pdf