「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」

 労働政策研究・研修機構が発表した「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」結果(有効回答数8697社)によると、2022年10月より適用拡大対象となった企業で要件を満たす短時間労働者が「いる」場合(回答630社)に、新たに厚生年金・健康保険が適用されるのに伴う対象者との調整は、「できるだけ適用する」が 55.1%、「どちらかといえば適用する」7.6%で、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」34.3%となった。

 厚生年金・健康保険の適用を新たに推進した場合(回答611社)の理由(複数回答)としては、「法律改正で決まったことだから(ありのまま、法令を遵守するため)」(66.0%)が最も多く、次いで、「短時間労働者自身が、希望したから」(45.8%)、「短時間労働者の必要人数を確保したいから(人手不足だから、求人の優位性を高めたいから)」(25.5%)などが挙げられた。

 また、2024年10月より適用拡大される見通しとなっている企業で、要件を満たす短時間労働者(対象者)が「いる」場合(回答540社)に、新たに厚生年金・健康保険が適用されるのに伴い、対象者と概ねどのような方針で調整を行うかについては、「できるだけ適用する」が 28.1%、「どちらかといえば適用する」12.0%で、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」22.4%などとなった。

 一方、「働き方に関するアンケート調査」結果(有効回答数1万人)によると、2022年10月より適用拡大対象となった企業に勤務する短時間労働者(回答1163人)の自身の働き方や社会保険の適用状況の変化は、「厚生年金・健康保険が適用され、かつ手取り収入が維持できるよう、所定労働時間を延長した」(6.4%)と「所定労働時間はそのまま、厚生年金・健康保険が適用された」(14.5%)が合計で21.0%だった。

 なお、適用拡大前の社会保険(年金)の加入状況別にみると、第1号被保険者(回答511人)では「厚生年金・健康保険が適用され、かつ手取り収入が増えるよう、所定労働時間を延長した」と「所定労働時間はそのまま、厚生年金・健康保険が適用された」が合計 23.7%に対し、「厚生年金・健康保険が適用されないよう、所定労働時間を短縮した」が 6.8%となったが、第3号被保険者(回答417人)では同順に19.2%、17.7%となっている。

 同調査結果は

https://www.jil.go.jp/press/documents/20230516.pdf