事務負担が軽減される「簡易な扶養控除等申告書」

 勤務先へ提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」又は「従たる給与についての扶養控除等申告書」に記載すべき事項が、前年にその勤務先へ提出した扶養控除等申告書に記載した事項から異動がない場合は、その記載すべき事項の記載に代えて、異動がない旨を記載した申告書を提出することができる。この、前年から異動がない旨を記載した申告書を「簡易な申告書」という。2023年度税制改正により創設された。

 この「簡易な申告書」は、来年2025年1月1日以後に支払を受けるべき給与等について提出する扶養控除等申告書から提出することができる。これまで「給与所得者の扶養控除等申告書」に記載すべき事項としては、イ.給与等の支払者の氏名又は名称、ロ.所得者が特別障害者若しくはその他の障害者又は勤労学生に該当する場合にはその旨及びその該当する事実並びに寡婦又はひとり親に該当する場合にはその旨、がある。

 さらに、ハ.同一生計配偶者又は扶養親族のうちに同居特別障害者・その他の特別障害者・特別障害者以外の障害者がある場合には、その同一生計配偶者又は扶養親族に関する事項、ニ.源泉控除対象配偶者に関する事項、ホ.上記ハ.の同居特別障害者・その他の特別障害者・特別障害者以外の障害者又はニ.の源泉控除対象配偶者が非居住者である場合にはその旨及び控除対象扶養親族に該当する事実、などがある。

 一方、これまで「従たる給与についての扶養控除等申告書」に記載すべき事項としては、イ.従たる給与等の支払者の氏名又は名称、ロ.源泉控除対象配偶者又は控除対象扶養親族に関する事項、ハ.源泉控除対象配偶者又は控除対象扶養親族のうち、その従たる給与等の支払者から支払を受ける給与等について徴収される所得税の額の計算の基礎としようとするものの氏名がある。

 さらに、ニ.上記ハ.の源泉控除対象配偶者が非居住者である親族である場合にはその旨並びに上記ハ.の控除対象扶養親族が非居住者である場合にはその旨及び控除対象扶養親族に該当する事実、などがある。「簡易な申告書」では、これらの記載すべき事項の記載に代えて、異動がない旨を記載した申告書を提出することができるわけだから、来年1月からは経理担当者の事務負担の軽減が期待できることになろう。