帝国データバンクが発表した「新設法人調査」結果によると、2023年(1~12月)に全国で新設された企業は、2024年4月時点で15万2860社(前年比7.9%増)判明し、2年ぶりに増加した。2021年の14.4万社を上回って過去最多を記録し、新たに市場へと参入する企業の増加が続いている。法人の新設動向は、特に2010年代後半から増加傾向が顕著となり、10年前の2013年に比べて年間の設立数は約1.4倍に増加した。
新興企業や太陽光発電への投資など特定の事業活動を目的とした企業設立が活発であることも、新設法人数が増加した要因となった。また、2023年10月からスタートしたインボイス(適格請求書)制度に対応するため、法人格を取得した小規模事業者も一定数あったとみられる。加えて、「スタートアップ創出促進保証」など経営者保証を必要としない国・自治体による創業支援制度の取組みが、起業の増加をより後押ししたと考えられる。
法人格別にみると、最も多いのは「株式会社」で10万1459 社となり、全体の66.4%を占めた。株式会社が10万社を超えたのは2000年以降で初めて。低コストでの設立が可能で、利益配分面などで経営の自由度が高い「合同会社」は4万630社で、株式会社と合同会社で全体の9割を超えた。法人格別に増加率をみると、「土地家屋調査士法人」が最も高く、42.9%増となった。2020年に法人化への要件緩和が行われたことも要因とみられる。
起業時点での代表者年齢が判明した新設法人の起業年齢をみると、2023年に新設された法人の代表者の平均年齢は48.4歳(速報値)となった。前年の48.2歳から0.2歳増加し、過去5年で1歳以上も上昇するなど、起業年齢の高齢化が進んでいる。年代別にみると、最も多いのは「40代」で、全体の31.9%を占めた。ただし、40代が占める割合は2019年をピークに低下傾向で推移している。
都道府県別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数で最多は「東京都」で4万6598社だった。次いで「大阪府」(1万5723社)、「神奈川県」(1万228社)と、社数上位の都道府県はいずれも大都市部が中心だった。前年からの増加率で最も高いのは「沖縄県」の 13.9%増(2132社→2428社)だった。インバウンドが回復した観光産業やIT関連産業を中心に起業が活発だったとみられる。
沖縄県に次いで増加率の高い「秋田県」と「岩手県」(各13.7%増)は、ともに前年から減少した22年の反動増といった要因も想定されるものの、両県ともに近年は創業支援に注力する動きもみられ、これまで乏しかった起業機運に変化が生じている可能性がある。市区郡別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数で最多は「港区」で6856社。次いで多い「渋谷区」(5288社)、「中央区」(4377社)と合わせ、上位5区はいずれも東京都だった。
同調査結果は