4月現在、昼休業店舗を有する信用金庫は205金庫

 2016年の規制緩和で信用金庫店舗の窓口営業時間の柔軟運用が可能となり、当座預金を取り扱う支店でも昼休業の実施が解禁された。コロナ禍を経て信用金庫の間で少人数・小型店舗への昼休業の実施は定着したと考えられる。信金中央金庫の地域・中小企業研究所が発表した信用金庫の昼休業店舗の実施状況によると、信用金庫のホームページ上で昼休業店舗を有する信用金庫を確認したところ、4月現在、205金庫で実施事例がみられた。

 地区別の実施状況では、北海道、南九州、四国の信用金庫で昼休業店舗ありが9割を超え、関東、東海、中国も8割台。その一方で、昼休業の実施割合が最も低い近畿では5割台にとどまる。次に同様の手法で4月現在の昼休業店舗数を確認すると、2505店舗となり、3月末の総店舗数(7077店舗)の35.3%に達した。地区別では南九州の店舗で昼休業の実施割合が5割を超え、北海道、九州北部、東海、東北が続いた。

 信用金庫別では25金庫で昼休業店舗の実施割合が9割を超え、そのうち本店を含む全店舗で昼休業を実施中が13金庫あった。ちなみに昼休業の時間帯は、大半の信用金庫が11時30分~12時30分の1時間を採用している。ただし、隣接する複数店舗で昼休業を実施する場合は、顧客利便性の維持に配慮し、A支店を11時~12時、B支店を12時~13時とするなどの対応がみられた。

 信用金庫が昼休業店舗を実施する目的は、(1)人員の適正配置、(2)効率化の選択肢、(3)働き方改革の実現、(4)競合との関係など多様だ。例えば、人員の適正配置は、来店客の少ない店舗や融資ニーズの乏しい店舗に対し、フルバンクサービスを提供するに足りる人員を配置する必要性は乏しい。そうだとするなら昼休業店舗の実施に合わせて少人数店舗化を図っても顧客利便性の低下は限定的だと考えられる。

 また、効率化の選択肢は、店舗統廃合を回避し対面の店舗チャネルを維持する手段として少人数(ローコスト)で運営が可能な昼休業店舗に切り替え、店舗採算を改善する。ただし信用金庫によっては、昼休業店舗を店舗統廃合の前段階に位置付ける考え方もある。働き方改革の実現では、店舗職員が昼食休憩時間を確保しやすくするなどの働き方改革を実現するため、昼休業店舗を実施する。

 一方、店舗昼休業を実施する課題(デメリット)を挙げると、(1)顧客利便性の低下、(2)コスト削減効果が限定的、(3)職員の不公平感拡大などがある。例えば、顧客利便性の低下は、信用金庫が昼休業店舗を実施することで、企業等の昼休み時間に店舗窓口で手続きを行いたい顧客の利便性低下につながってしまう。また昼休業時間の前後に店舗窓口が混雑し、待ち時間の増加が生じる可能性もある。

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https://www.scbri.jp/reports/finance/20240523-20244.html