2023年の「新設法人」、過去最多の15万3405社設立

 東京商工リサーチが発表した「全国新設法人動向調査」結果によると、2023年に全国で新しく設立された法人は15万3405社(前年比7.8%増)で、2008年に統計を開始以降、最多を更新した。2020年からのコロナ禍で経済活動が大きく制限されたが、2023年5月に新型コロナが5類相当に移行し、起業マインドを刺激。また、政府や金融機関、支援機関などが推進する起業支援の取組みも新設法人数の底上げに寄与しているようだ。

 一方、休廃業・解散は4万9788社(前年比0.3%増)、企業倒産は8690社(同35.1%増)で、ともに増加した。コロナ禍関連の資金繰り支援策が段階的に縮小され、自立(自律)・自走できない企業の淘汰が進むなか、新設法人数は過去最多を記録した。この新しい企業が中堅、大企業へ成長し、地域の中核企業、雇用の受け皿として、地域経済を支える仕組みの構築と支援が急務になっている。

 2023年の新設法人で最も多かった商号は、「アシスト」の60社。相手を助ける意味を持ち、目覚ましいテクノロジーの進化など、激変する外部環境の下で求められている役回りでもある。次いで、「LINK」が48社で続く。「結びつき」や「連結」、「連帯」、「絆」などの意味を込めて社名にした企業が多いようだ。また、3位は「サンライズ」で45社だった。コロナ禍が明けたことを含んでいるとみられる。

 産業別は、10産業のうち、農・林・漁・鉱業を除く9産業で増加。増加率の最大は、「卸売業」の14.0%増で、2年連続で増加率トップ。「建設業」は10.7%増で第2位。3位は飲食業や宿泊業などコロナ禍で痛手を受けた「サービス業他」の9.4%増。次いで、DXをはじめとしたIT投資のニーズが引き続き高い「情報通信業」(7.2%増)だった。2024年問題と人手不足が圧し掛かる「運輸業」(5.9%増)も増加に転じた。

 産業を細分化した業種の増減を分析(設立数が1000社以上を対象)したところ、増加率の最大は、「宿泊業」の46.8%増。2022年は▲1.1%減と微減に沈んだが、新型コロナの5移行やインバウンドの復調でビジネス環境が好転、大幅に増えた。次いで、「各種商品卸売業」の29.3%増、「飲食業」9.7%増、「教育,学習支援業」9.6%増と続く。一方、減少率では、最も大きかったのは「食料品製造業」の▲9.1%減だった。

 法人格別の社数は、「株式会社」が10万1413社(前年比8.6%増)。全体の約7割(66.1%)を占めた。前年は▲2.7%減少したが、一転して増加に転じた。設立コストが安く、株主総会が不要など経営の自由度が高い「合同会社」は、4万655社(前年比9.6%増)で、統計開始以来、初めて4万社を突破した。このほか、「一般社団法人」が6055社(同1.5%増)、「医療法人」が1256社(同▲4.5%減)などだった。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198586_1527.html