円安の進行、企業の63.9%が「利益にマイナス」

 日米金利差などを背景に外国為替レートは、2021年以降円安傾向で推移。とりわけ4月に入ると円安が急加速し、4月29日には34年ぶりに一時1ドル=160円台をつける場面もあった。その後一転して円高方向に変動するなど、乱高下を繰り返すも、150円台にとどまっている。企業からは円安による輸入物価の上昇を危惧する声が聞かれる一方で、インバウンド消費が活発になるなど、企業活動にさまざまな影響が及んでいる。

 帝国データバンクが発表した「円安に関する企業の影響アンケート調査」結果(有効回答数1046社)によると、昨今の円安が自社の業績与えた影響は、【売上高】に「プラス影響」が16.0%、「マイナス影響」が35.0%、「影響なし」が49.0%。一方で、【利益】については「プラス影響」が7.7%、「マイナス影響」が63.9%、「影響なし」が28.5%と、約3社に2社が最近の円安によって、利益面でマイナスの影響を受けていることが分かった。

 【売上高】と【利益】それぞれの影響の組み合わせでみると、「【売上高】マイナス影響×【利益】マイナス影響」が31.7%で最も高く、3割超の企業が「売上高・利益ともにマイナスの影響」を受けている。次いで、「【売上高】影響なし×【利益】マイナス影響」(23.7%)、為替は業績には影響しない「【売上高】影響なし×【利益】影響なし」(23.5%)が続いた。

 自社にとって適正な為替レートの水準は、「120円以上~130円未満」が28.9%と最も割合が高く、次いで「110円以上~120円未満」(21.2%)が続いた。半数の企業が「1ドル=110円~120円台」を適正な水準と考えており、足元の1ドル=156円(5月15日17時時点)とは大幅なかい離がある。企業からは、「海外で縫製をしているので大打撃。今でも少ない利益が飛んでしまう」(繊維・繊維製品・服飾品製造)といった声が寄せられた。

 さらに、「海外子会社とのやりとりにおいてレートが悪すぎる」(輸送用機械・器具製造)といった現状の円安水準での企業活動は厳しいとの声が多数あげられた。また、「輸入と輸出をしているので円安は輸出には良いが、輸入は厳しい。120円~130円で落ち着くとビジネスがしやすく、これから先の予測もできる」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)と安定した為替相場を望む声も寄せられた。

 他方、「日本は製造立国である。輸出産業が潤えば、国全体が栄える」(情報サービス)、「国内需要がおよそ8割以上であるため、円安によるインバウンドの好影響は間接的な需要喚起につながる」(機械・器具卸売)と、円安による輸出面での好調に加えてインバウンド消費の活発化を歓迎する声も一部で聞かれた。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240507.pdf