代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算

 代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法だ。この場合の相続税の課税価格の計算は、代償財産を交付した人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額を控除した金額となる。

 また、代償財産の交付を受けた人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額の合計額となる。この場合の代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した人が他の共同相続人などに対して負担した債務の額の相続開始の時における金額になる。ただし、代償財産の価額については、次の場合には、それぞれ次のとおりとなる。

 それは、(1)代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、代償債務の額がその財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されている場合には、その代償債務の額に、代償分割の対象となった財産の相続開始の時における相続税評価額が代償分割の対象となった財産の代償分割の時において通常取引されると認められる価額に占める割合を掛けて求めた価額となる。

 また、(2)共同相続人及び包括受遺者全員の協議に基づいて、(1)で説明した方法に準じた方法か他の合理的と認められる方法により代償財産の額を計算して申告する場合には、その申告した額によることが認められる。なお、代償財産として交付する財産が相続人固有の不動産の場合には、遺産の代償分割で負担した債務履行のための資産の移転となるので、履行した人は、履行時の時価によりその資産を譲渡したことになり、所得税が課税される。

 一方、代償財産として不動産を取得した人については、その履行があった時の時価により、その資産を取得したことになる。