大阪府内の人手不足企業割合が2年連続で30%超

 大阪シティ信用金庫が発表した「中小企業における人手不足の実態と対応策等調査」結果(有効回答数1250社)によると、人手の過不足感は、「適正」と答えた企業が65.8%で最も多い。これに対し、「不足」とする企業は33.2%、「過剰」とする企業はわずか1.0%。これを前年調査(2023年)と比べると、「不足」が1.2 ポイント、「過剰」が0.1ポイントそれぞれ減少する一方、「適正」が1.3ポイント増となり、大きな変化は見られなかった。

 コロナ禍の影響で一時大きく低下した「不足」企業割合は、「5類」移行後の経済活動再開により2023年(34.4%)から2年連続で30%を超えた。中小企業の人手不足感はコロナ前並みの深刻度となっている。業種別でみると、「不足」と答えた企業割合は、働き方改革による「2024年問題」が大きく影響する「運輸業」(52.9%)と「建設業」(49.3%)で特に高くなっている。

 自社で人手不足を感じている分野(複数回答)は、「技能系(生産工程・運搬)」が65.9%で最も多く、以下、「営業系」が24.6%、「技術系(ITなどの専門技術)」が16.7%、「事務系」が11.6%。業種別でみると、「技能系」は、「製造業」(85.6%)、「運輸業」(74.1%)、「建設業」(72.6%)で圧倒的に高い。一方、「営業系」は、「卸売業」(60.0%)、「サービス業」(43.9%)、「小売業」(42.4%)で高く、業種ごとに特有の事情が表れている。

 人手不足になった原因(複数回答)については、「売上・受注の回復で忙しくなったから」と答えた企業が50.2%で最も多い。次いで「退職による欠員が補充できていないから」と答えた企業が45.2%で多く、従業員の高齢化が進むなか新規雇用の難しさなどから人手不足が常態化しているとみられる。以下、「営業の拡大を目指しているから」が31.2%、「新たな部門を設けたから」が2.7%となっている。

 人手不足が自社の経営に及ぼしている悪影響(複数回答)は、「受注機会の逸失」と答えた企業が71.4%で圧倒的に多い。景気が回復して受注が増えるも、人手が足らず、商機を生かしきれない企業が少なくない。次いで「(人件費・外注費等の)経費の増加」(34.0%)、「商品・サービスの質の低下」(18.9%)、「技術・ノウハウの継承が進まない」(13.8%)、「新事業転換、新商品・サービスの開発遅れ」(9.0%)などと続く。

 人手不足への対応策(複数回答)は、「従業員を募集している」と答えた企業(80.6%)が圧倒的に多い。求人以外の対応策では、「(残業や休日出勤など)現人員で対応している」企業(38.6%)が多く、限られた人員で何とか対応せざるを得ない状況がうかがえる。以下、「外注を活用している」が31.1%、「省力化・効率化を推進している」が23.8%、「受注を制限している」が13.1%などとなっている。

 同調査結果は

https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2024/2024-5-2.pdf