日本労働組合総連合会が、いわゆる“年収の壁”や年金に関する意識・実態を把握するために実施した「年金に関する調査」結果(有効回答数1000人)によると、103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁など、いわゆる“年収の壁”の理解度は、「理解している」の 43.6%に対し、「あまり理解していない」が40.5%、「まったく理解していない」が15.9%で、合計した『理解していない(計)』は56.4%となった。
男女別にみると、理解している人の割合は、男性では48.0%と、女性(39.2%)と比べて 8.8ポイント高くなった。世代別にみると、理解している人の割合は、50代以上(50代 50.6%、60代以上 52.4%)では半数を超えた。世帯別にみると、理解している人の割合は、共働き世帯(「夫婦のどちらも扶養に入っていない」51.3%、「夫婦のどちらかが扶養に入っている」56.9%)で高くなった。
年収が一定の水準を超えると社会保険料の負担によって手取り収入が減ってしまったり、扶養からはずれてしまったりするケースがあり、また、配偶者控除や配偶者特別控除が受けられなくなったり、控除額が減少したりするケースもある。このようなことを避けるための労働時間の調整について、有職者(713名)は、労働時間を一定に抑える「調整をしている」が13.3%、「調整していない」は86.7%となった。
男女別にみると、調整している人の割合は、女性では22.0%と、男性(6.0%)と比べて 16.0ポイント高い。配偶者や配偶者以外の親族の扶養に入っている人(123名)では、調整している人の割合は、全体では63.4%、女性では67.8%、男性では51.5%。また、子どもがいる人といない人に分けてみると、調整している人の割合は、子どもがいない人では15.0%と、子どもがいる人(11.1%)と比べて3.9ポイント高くなった。
労働時間を一定に抑える調整をしている人(95名)が、労働時間の調整をするにあたって意識している収入は、「年収103万円」(53.7%)が突出して高くなり、いわゆる“年収 103万円の壁”を意識している人が多いようだ。そのほか、「月額賃金8万8000円(年収換算約106万円)」が 20.0%、「年収130万円」が15.8%、「年収150万円」が1.1%となっている。
同調査結果は
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20240514.pdf?9122