「雇用調整助成金」の不正受給1157件、3月は94件

 東京商工リサーチが発表した「雇用調整助成金の不正受給企業調査」結果によると、各都道府県の労働局が公表した雇調金等の不正受給は、2024年4月30日までで累計1157件に達した。2024年3月と4月は合計117件が公表されたが、3月の94件は歴代2位の多さだった。90件台は過去最多の2023年10月(97件)に次ぐ2回目。これまでに支給決定が取り消された助成金は総額391億4016万円にのぼる。

 月別の公表件数は、2021年2月の初公表から2022年5月まで一ケタ台で推移したが、2022年6月(15件)以降は二ケタ台の推移が続く。不正受給の内訳は、「雇調金」だけの受給が658件と約6割(構成比56.8%)を占める。また、パートタイマー等の雇用保険被保険者ではない従業員の休業に支給される「緊急雇用安定助成金」のみが166件(同14.3%)、両方の受給が333件(同28.7%)で約3割を占めた。

 地区別では、「関東」が433件(構成比37.4%)で最も多く、2番目に多い「近畿」213件の倍と突出した。このほか、「中部」207件、「九州」98件、「中国」87件、「東北」43件、「四国」37件、「北陸」24件、「北海道」15件の順。2024年3~4月の増加率は、「北海道」66.6%増(9→15件)が最高で、「北陸」26.3%増(19→24件)が続く。一方、「四国」は5.7%増(35→37件)にとどまり、最も低かった。

 都道府県別では、「東京都」と「大阪府」が各143件で最も多かった。直近2ヵ月は、東京都が8件増に対し、大阪府は16件増と2倍で東京都に並んだ。次いで、「愛知県」が132件で、上位3都府県が100件を超えた。以下、「神奈川県」96件、「広島県」56件、「千葉県」51件、「福岡県」43件、「栃木県」39件、「埼玉県」37件、「三重県」33件、「京都府」24件、「茨城県」23件などの順となっている。

 産業別では、最多は「サービス業他」の387社(構成比44.6%)で4割を超えた。2番目に多い「建設業」111社(同12.8%)の3.4倍に達した。このほか、「製造業」99社(同11.4%)、「小売業」60社(同6.9%)、「卸売業」59社(同6.8%)、「運輸業」57社(同6.5%)が続く。産業を細かく分類した業種別では、最多は「飲食業」の117社(同13.4%)、次いで、「建設業」の111社で、この2業種が100社を超えた。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198576_1527.html