東証プライム上場企業152社の初任給調査速報集計

 若年労働力人口の減少に伴う新卒採用競争の激化や、物価上昇に伴う大幅な賃上げ機運の高まりなど、初任給の決定をめぐる状況は大きな転換点にあり、注目を集めている。労務行政研究所が発表した「東商プライム上場企業の今年4月の新卒入社者の初任給調査」結果(有効回答数152社)によると、2024年度の初任給を前年度から「全学歴引上げ」した企業は86.8%と、昨23年度速報集計時の70.7%から16.1ポイント上昇した。

 一方、「全学歴据置き」した企業の割合は9.2%と、同速報集計時の26.1%から16.9ポイント低下した。過去10年間における、初任給を「全学歴引上げ」した企業の割合の推移をみると、2015年度は、輸出産業を中心とする企業業績の回復やデフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景として賃上げ基調が顕著となった14年度に引き続いて、引上げを実施する企業が増加し、14年度の23.2%から16.7ポイント上昇の39.9%となった。

 2016年度と17年度は引上げ率が30%前後で推移したが、18年度は再び上昇し39.7%となった。19年度、20年度は下降基調ながら30%台で推移したが、21年度はコロナ禍による業績不振の影響などを受け17.1%と大幅に低下。しかし、22年度は一転して40%台、23年度は70%台と、2年連続で大幅な上昇となった。24年度はさらに上昇して86.8%となり、過去10年で最多となっている。

 全産業でみた学歴別の初任給水準は、「大学卒(初任給に差を設けず、一律設定の場合)」23万9078円、「大学院卒修士」25万9228円、「短大卒」20万5887円、「高校卒(一律設定の場合)」19万3427円となった。同一企業における昨2023年度初任給と比較した上昇率は、「大学卒(一律)」5.4%、「大学院卒修士」 5.9%、「短大卒」6.2%、「高校卒(一律)」6.5%である。

 学歴別決定初任給の改定状況と上昇額をみると、「大学卒(一律)」では、「引上げ」が 89.8%、「据置き」が10.2%となっている。引き上げた場合の上昇額は「1万円~1万2000円未満」と「1万4000円~1万6000円未満」がいずれも14.4%で最も多く、次いで「1万2000円~1万4000円」が12.4%で続いた。引き上げた場合の平均上昇額は1万3746円となった。

 同調査結果は

https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000087086.pdf