5月の食品値上げは417品目、「原材料高」が再燃

 帝国データバンクが発表した「食品主要195社の価格改定動向調査」結果によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした5月の飲食料品値上げは417品目を数えた。前年同月(837品目)に比べて420品目・50.2%減と、5ヵ月連続で前年同月を下回ったほか、2ヵ月ぶりに1千品目以下の水準にとどまった。値上げ1回あたりの平均値上げ率は、5月単月で31%となった。

 5月の値上げ率は、オリーブオイル製品や大型PETボトル飲料などで大幅な価格引上げが行われたことを背景に、単月としては2022年以降初めて30%台を記録した。2024年の値上げ品目数は10月までの累計で7424品目となり、年間の平均値上げ率は18%に達した。23年の値上げ予定品目で7千品目到達が判明したのは22年12月時点だったのに対し、24年分では同年4月と、前年より4ヵ月遅いペースだった。

 2024年の値上げ要因では、特に4月以降に多く発生した「原材料高」の割合が高まっている。24年(1~10月)に予定される値上げ品目のうち、「原材料高」は90.5%を占めた。猛暑や干ばつなど天候不順による不作で、カカオ豆やインスタントコーヒー製品の原料となるロブスタ豆、オリーブなどの原材料価格が高騰し、23年後半にかけて沈静化していた「原材料高」値上げが一部食品で再燃した。

 2024年5月の値上げは、PETボトル飲料や缶飲料、コーヒー製品など「酒類・飲料」が253品目を占め、全食品分野で最も多かった。酒類・飲料が単月で最多となるのは、23年10月(3198品目)以来、7ヵ月ぶりとなる。「加工食品」(97 品目)はレトルト調理品や幼児食、肉製品などが中心だった。「原材料」(66品目)はオリーブオイル製品が中心で、50%を超える大幅な価格引上げが目立った。

 物価の高止まりを既定路線として捉える見方が消費者の間で広がっている。日本銀行の調査では、1年後と5年後の物価が「上がる」と回答した人の割合が、それぞれ昨年12月時点から増加した。ただ、物価上昇に対し実質賃金の伸びが追い付かないことを背景に、店頭では安値攻勢が目立つプライベートブランド(PB)製品で購買量が伸長するなど節約志向は根強い。

 一方で、「原材料高」に起因した値上げが足元で再燃している。カカオ豆やノリ、オリーブオイルでは関連する食品群で値上げを余儀なくされたケースが目立ってきた。また、34年ぶりの安値で推移する円ドル為替相場は、2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の円安水準を超えており、原材料を海外からの輸入に頼る企業では一層のコスト増が見込まれる。

 2024年後半の値上げは、店頭での値下げ圧力とコストアップの板挟みとなりながら、当面は月平均1千品目前後、年間で最大1.5万品目の値上げペースで推移すると予想される。ただ、1ドル150円台後半の円安水準が長期化、または円安が一段と進行した場合、今秋にも円安を反映した値上げラッシュの発生が想定され、当初予想の品目数から上振れする可能性があるとみている。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240414.pdf