消費税および地方消費税の経理処理としては、税抜経理方式と税込経理方式とがあり、どちらの方式を選択してもよいことになっている。それぞれの方式を選択適用した場合の納付すべき税額や還付を受ける税額の経理処理は、まず、事業者がすべての取引について税抜経理方式を選択適用した場合には、課税売上に対する消費税等は仮受消費税等とし、また、課税仕入れに対する消費税等は仮払消費税等とする。
簡易課税制度を適用している事業者の仕入控除税額は、その課税期間の課税標準額に対する消費税額にみなし仕入率を掛けて計算した金額とされるので、簡易課税制度による納付すべき税額と、上記の仮受消費税等の合計額から仮払消費税等の合計額を控除した金額とは一致しない。そこで、この一致しない差額は、清算することになる。なお、いずれの場合も、清算する時期は差額が生じた課税期間を含む年または事業年度となる。
清算は、仮受消費税等の合計額から仮払消費税等の合計額を差し引いた金額より簡易課税制度を適用した場合の納付すべき消費税等の額が少ない場合には、その差額を雑収入として総収入金額または益金の額に算入する。また、仮受消費税等の合計額から仮払消費税等の合計額を差し引いた金額より簡易課税制度を適用した場合の納付すべき消費税等の額が多い場合には、その差額を雑損失として必要経費または損金の額に算入する。
次に、事業者がすべての取引について税込経理方式を選択適用した場合には、課税売上に対する消費税等の額は収入金額・収益に含まれ、また、課税仕入れに対する消費税等の額は仕入金額や経費などの額に含まれる。このため、納付すべき消費税等の額は、租税公課として必要経費・損金の額に算入し、還付を受ける消費税等の額は、雑収入などとして総収入金額・益金の額に算入する。
この場合の納付すべき消費税等の額や還付を受ける消費税等の額の計上時期は、原則、(1)申告に係るものは、その申告書が提出された日の属する年または事業年度、(2)更正・決定に係るものは、その更正・決定があった日の属する年または事業年度となる。なお、個人事業者が申告期限未到来の納税申告書に記載すべき消費税等の額を未払金・未収入金に計上した場合には、その計上した年の必要経費・総収入金額に算入することができる。
また、法人が申告期限未到来の納税申告書に記載すべき消費税等の額を損金経理により未払金に計上した場合や収益の額として未収入金に計上した場合には、その計上した事業年度の損金の額または益金の額に算入する。