税制非適格ストック・オプションに係る課税関係

 ストック・オプションとは、会社が自社や子会社の従業員、役員等に対して付与する自社株式を一定の期間内にあらかじめ定められた権利行使価格で購入することができる権利をいうが、このストック・オプションについては、ストック・オプション税制の適用を受けて取得するもの(税制適格ストック・オプション)とその適用を受けないで取得するもの(税制非適格ストック・オプション)がある。ここでは後者について説明する。

 ストック・オプション税制とは、「特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等の特例」をいう。課税時期は、その取得から売却までの段階に区別すると、(1)ストック・オプションを取得した時、(2)権利を行使したとき、(3)株式を譲渡したときに分けられる。税制非適格ストック・オプションの場合、このうち(2)および(3)の段階において、その経済的利益について課税されることになる。

 権利行使時(上記の(2))のその経済的利益に係る所得区分については、その株式の発行法人とその権利を与えられた人との関係等により異なる。その株式の発行法人と権利を与えられた人との関係が雇用契約またはこれに類する関係に基因してその権利が与えられた場合は、給与所得として課税される。また、職務の遂行と関連を有しない利益が供与されていると認められるときなどは、雑所得となる。

 雑所得となるのは、退職後にその権利を行使した人のうち、イ.株式の発行法人から権利が付与された(ストック・オプションを取得した)後、短期間のうちに退職を予定されていること、ロ.その人が退職した後、その権利を行使した時に得られる経済的利益のうち、その大部分が長期間にわたって生じた株式の値上がり益に相当するものであること、のいずれにも該当する場合となる。

 その権利を与えられた人の営む業務に関連してその権利が与えられたと認められる場合は、事業所得または雑所得として課税される。また、株式を譲渡した場合(上記の(3))には、譲渡所得として課税される。なお、所得金額は、権利行使時(上記の(2))は、「(権利行使時株価-権利行使価格)×株式数」の算式で、株式譲渡時(上記の(3))は、「(売却価格-権利行使時株価)×株式数」の算式でそれぞれ計算する。