東京商工リサーチが発表した「経営者保証に関する調査」結果(有効回答数3761社)によると、資金調達時の経営者(個人)保証を「外したい」企業が75.5%にのぼり、経営者保証に拠らない融資へのニーズは大きい。ただ、保証料率の上乗せや金融機関との関係悪化を懸念して経営者保証を外すことに慎重な企業も多い。政府は経営保証に依存しない融資慣行の確立を目指すが、長い年月で醸成された経営者保証の岩盤は厚いようだ。
政府は2022年12月に「経営者保証改革プログラム」を公表。2024年3月には「事業者選択型経営者保証非提供制度」を創設、安易に個人保証を取ることを抑制し、企業と保証人が納得感ある融資を目指している。今回の調査で、脱「経営者保証」への方向性は企業ニーズに合致していることが示された。一方で、設備資産のリースや商取引で経営者保証を求められることが多い業種を中心に、「経営者保証の提供に躊躇はない」との声も根強い。
信用保証における経営者保証(個人保証)についての考えは、「保証料率の上乗せがゼロであれば外したい」が35.6%で最多。また、「0.5%以上の保証料率の上乗せであっても外したい」も17.6%あった。一方で、「経営者保証の提供に躊躇はない」も24.4%に達した。「経営者保証の提供に躊躇はない」企業を業種別にみると、「広告業」が41.1%、「自動車整備業」39.1%、「建築材料,鉱物・金属材料等卸売業」37.9%と続く。
経営者保証の提供について、金融機関から資金調達している企業のうち、3761社から回答を得たところ、提供「している」は48.5%、「していない」は51.4%でほぼ拮抗した。規模別では、中小企業では「提供している」は51.4%で、半数を超えた。「提供している」企業が多かった業種は、最多が「不動産取引業」の77.2%。一方で、「提供していない」と回答した企業の業種では、「協同組合」が75.0%で最も多かった。
3月15日から経営者保証なしで融資が受けられる信用保証制度の受付が開始されたが、この制度の利用状況は、最も多かったのは「制度が始まったことを知らない」で53.2%にのぼった。「すでに利用した(申し込んだ)」は7.0%にすぎない。「制度が始まったことは知っているが利用予定はない」企業が利用しない理由(複数回答)では、最多が「保証料率が上乗せされるため」の27.5%だった。
同調査結果は