2024年の夏季ボーナス、3年連続の増加との予測

 みずほリサーチ&テクノロジーズでは、2024年夏の民間企業の一人当たりボーナス支給額(支給事業所における一人当たり平均)を前年比+3.2%と予測している。夏としては3年連続のプラスとなり、昨夏の伸び(同+2.0%)を大きく上回る見通し。民間企業のボーナス支給額は1ヵ月当たりの所定内給与に支給月数を乗じて算出される場合が多い。2024年夏は所定内給与が大きく増加する一方で、支給月数は横ばいとなる見込みだ。

 まず所定内給与(6月~8月平均)は前年比+3.2%(昨夏:同+1.0%)と、伸び率の加速が鮮明になるとみている。所定内給与には春闘の結果が反映されるが、2024年の春闘賃上げ率(連合ベース:第3回集計値、定期昇給込み)は5.24%と、2023年の3.70%を大きく上回る。賃上げ率の内訳をみると、基本給の底上げとなるベースアップ分が3%台半ばと昨年(2%弱)を大きく上回っており、1991年以来33年ぶりとなる強い内容だ。

 人手不足の深刻化や好調な企業収益、政労使一体となった賃上げムードの醸成が背景にある。大企業と比べて利益増加ペースが鈍く、賃上げ余力が乏しいこともあって、中小企業の賃上げ率は相対的に抑制されている。それでも、中小企業(組合員数300人未満)の賃上げ率も+4.69%(前年比+1.27%ポイント)と大幅なプラスになっており、中小企業のウエイトが大きい毎月勤労統計でみても所定内給与は相応の伸びとなるとみている。

 支給月数は1.07ヵ月と、昨夏(1.07ヵ月)から横ばいを予想。2023年度下期の企業収益は、上期対比で前年比プラス幅は縮小するものの、高水準の収益を維持する公算が高い。法人企業統計によると、2023年10~12月の経常利益(全規模・全産業、季節調整値)は、2022年10月~2023年3月対比+9.6%と堅調に推移。また、業種別にみると、非製造業は堅調なインバウンド需要を背景に、同+6.1%とサービス業を中心に増益を維持している。

 製造業については、中国経済の伸び悩みが下押し要因となるものの、商品市況高騰に伴う原材料コスト増加の一服に加え、堅調な米国経済や半導体市況の回復を背景に、同+16.4%の増益となっている。このように収益環境は堅調である一方、所定内給与の大幅な伸びによる人件費増加を受けて、支給月数の引き上げに慎重になる企業も出てくると考えられる。そのため、増益基調が続くなかでも支給月数は横ばいと見込んでいる。

 民間企業のボーナス支給総額(ボーナス支給労働者数×一人当たりボーナス)は、前年比+3.6%と大幅に増加すると予想。景気の回復基調が続くもとで企業の採用意欲が高い状態が続いていることを背景に、ボーナス支給事業所に雇用される雇用者の割合が前年から小幅に上昇すると想定しているためだ。そうしたなか、正社員数の増加傾向が続き、ボーナスを受け取る労働者も小幅に増加すると見込んでいる。

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