代表者60歳以上企業で「既に後継者を決定」50%超

 日本商工会議所が発表した「事業承継に関する実態アンケート調査」結果(有効回答数4062社)によると、現代表者の年齢が60歳以上の企業において、「既に後継者を決めている」と回答した企業は50%超となった。「後継者候補はいる」を含めると、75%超の企業が後継者(候補含む)となる人材を確保している。一方、「後継者を決めていないが事業継続したい」、「自分の代で廃業する予定」など、後継者不在企業は、約2割となっている。

 先代代表者と現代表者との関係をみると、8割超が親族内で事業を承継。後継者(候補含む)がいる企業では、現代表者と後継者(候補含む)との関係は、「子」が7割超と最も多く、親族内承継が8割超を占める。一方、約2割の企業は親族外の役員・従業員も後継者(候補含む)になっている。「既に後継者を決めている」企業について、事業承継を意識してから後継者の承諾を得るまでに、約7割の企業が1年以上を要している。

 2代目以降の現代表者と先代代表者との関係について、現代表者が代表に就任した時期別にみると、直近10年以内に承継した現代表者のうち、約3割が役員・従業員や社外からの登用といった親族外承継であり、10~20年前の承継実態に比べて2倍以上に増加。一方、「子供」、「兄弟・姉妹」といった親族内承継は減少傾向にあるものの、直近でも約7割と依然として大宗を占めている。

 事業承継にあたっての障害・課題(3つまで回答)は、「後継者への株式の移転」が約4割と最多。次いで、「後継者教育」が3割超となった。なお、株式移転にも関連する「自社株の評価額の高さ」を課題とする企業は2割強だった。事業承継の課題を「後継者への株式の移転」と回答した企業について、株式移転時の障害は、親族内承継時の「相続税・贈与税の納税資金の確保」が約8割にのぼる。

 また、自社従業員など親族外承継時の「株式買取資金の確保」が約3割となるなど、株式の移転においては、後継者の資金面での負担がボトルネックとなっている。従業員規模が大きいほど、株価は高くなる傾向にある。経営者の代替わりの回数が多いほど後継者によって会社が持続的な成長を遂げ、それに応じて株価が高額になっており、現経営者が4代目以降の企業のうち、株価1億円超は約7割にのぼる。

 業績が悪い場合、M&A(譲渡・売却)を検討する割合が増える傾向にあり、直近期利益が赤字かつ後継者が不在の企業の約2割が、事業承継の手段としてM&Aを検討している。直近期の売上高別にM&A(買収)の実施・検討状況をみると、売上高10億円超の企業では、実施・検討したことがある企業は3割超にのぼる。株価評価額別では、株価10億円超の企業のうちM&A(買収)を実施・検討したことがある企業は4割超となる。

 同調査結果は

https://www.jcci.or.jp/20240322jigyosyokei_chosa.pdf