東京商工リサーチが発表した「2023年倒産企業の財務データ分析調査」結果によると、昨年に全国で倒産した企業のうち、約7割(構成比68.0%)の企業が直近決算の純利益が赤字だったことが分かった。また、倒産直前では債務超過の企業が約7割に達し、2年間で33.1%増加した。売上高の減収企業は、倒産企業が最新期で61.4%に対し、生存企業は44.3%で、業績回復の遅れが収益悪化の大きな要因だったことを示している。
2023年の倒産企業(586社)の赤字企業率は、直近決算(最新期)で68.0%(前期61.2%)に広がった。前々期からは20.8ポイント悪化した。一方、生存企業(38万4900社)の最新期の赤字率は25.5%で、前期25.2%、前々期25.0%とほぼ横ばいで推移している。倒産企業と生存企業の差は、前々期の22.2ポイントから最新期は42.5ポイントまで拡大しており、収益力は二極化がさらに進んだ。
自己資本比率(純資産÷総資産)が0%を切る『債務超過』比率は、倒産企業が前々期52.0%→前期61.9%→最新期69.2%と右肩上がりの推移をたどった。赤字企業率の増加に比例し、債務超過に陥る企業も増加し、倒産直前の決算では約7割が債務超過だった。一方、生存企業は前々期15.5%→前期15.9%→最新期16.2%と、ほぼ横ばいで推移した。利益確保による財務内容の安定が、生き残りの明暗を分けたといえる。
最新期の自己資本比率は、生存企業では約6割(構成比58.5%)が自己資本比率30%以上に分布し、大半の企業が財務内容の安定を維持していることが分かる。一方で、倒産企業でも4.4%が自己資本比率30%以上だった。一見、相応の自己資本を有していたとしても、急激な資金需要に応じられず、短期的に資金がショートする“黒字倒産”などに陥るケースがあるためで、自己資本比率だけで倒産危険度を測るのは早計といえる。
有利子負債構成比率【(長・短期借入金、社債など)÷総資本】は、借入金への依存度を示す。倒産企業は前々期45.0%→前期56.3%→最新期58.9%と増加推移をたどる。特に、コロナ禍の前々期から前期への増加が顕著で、ゼロゼロ融資などのコロナ対応資金繰り支援の副作用とみられる。一方、生存企業は同29.9%→29.8%→30.3%と、30%前後で推移。過剰債務を解消できず資金調達余力を欠き、経営破たんを余儀なくされたようだ。
同調査結果は