23年倒産企業の平均寿命は23.1年、2年連続で縮む

 東京商工リサーチが発表した「2023年倒産企業の平均寿命調査」結果によると、昨年の倒産企業の平均寿命は23.1年で2年連続平均寿命が縮んだ。2007年に調査を開始以降、東日本大震災が発生した2011年(23.0年)に次いで短かった。ゼロゼロ融資の返済や物価高、人件費上昇、人手不足など、多くの問題を引きずるなか、経営基盤がぜい弱な「新興」企業ほどコロナ禍の影響が大きく、倒産した企業に占める割合が上昇した。

 業歴別の倒産構成比は、業歴30年以上の「老舗」企業は32.1%(前年33.7%)で、2年連続で縮小した。一方で、業歴10年未満の「新興」企業は30.1%(同29.6%)で、2009年以降の15年間で初めて30%台に乗せた。綿密な事業計画より手厚い企業支援を背景に設立された企業も多く、コロナ禍の急激な市場の変化に対応できなかったことも構成比を引き上げた一因になった。

 産業別の平均寿命は、10産業のうち、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業の4産業で延びた。一方、平均寿命が短縮したのは農・林・漁・鉱業、建設業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業他の6産業だった。平均寿命では、最長が「製造業」の36.3年で、唯一、30年を超えた。次いで、「卸売業」29.5年、「小売業」24.5年、「運輸業」24.4年、「農・林・漁・鉱業」21.9年の順。平均寿命の最短は、「金融・保険業」の15.0年だった。

 政府は、コロナ禍で断続的に支援策を打ち出し、企業倒産は歴史的な低水準となったが、コロナ禍も4年を経過し、支援策は順次、縮小・終了を迎えている。支援効果が希薄化するに伴い、業績回復が遅れた企業は市場からの撤退、廃業や倒産が現実味を帯び、全体的なコストアップを吸収できない企業は、物価高が収益面に大きな負担となっている。そうした事態への耐性がもろい「新興」企業が倒産件数を押し上げ、平均寿命の短縮につながった。

 なお、産業別の「老舗」企業の構成比は、10産業のうち、製造業、卸売業、金融・保険業の3産業で上昇。一方、農・林・漁・鉱業、建設業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業他の6産業で減少、小売業は前年と同水準だった。「老舗」企業の構成比の最高は、「製造業」の63.3%で、3年連続で60.0%を超えた。以下、「卸売業」45.0%、「運輸業」34.1%、「小売業」33.1%、「建設業」29.9%と続く。

 また、2023年の製造業の社長年齢は、60代以上が6割(60.9%)を超え高齢化が目立つ。後継者不在や事業承継に加え、資材価格の高騰や人件費の上昇などコスト負担の増加も深刻さを増す。産業別で、業歴10年未満の「新興」企業の構成比が最も高かったのは、「サービス業他」の41.4%。飲食業など対面サービス業は、政府、自治体の積極的な創業支援の恩恵を受ける一方で、コロナ禍前の業況に戻らず、業歴の浅い企業の息切れが目立った。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198412_1527.html