2023年の上場企業の監査法人異動は23社増の264社

 東京商工リサーチが発表した「全上場企業の監査法人異動調査」結果によると、国内の証券取引所に株式上場する約3800社のうち、2023年に「監査法人異動」を開示したのは264社だった。前年の241社から23社(前年比9.5%増)増え、過去5年間で最多。異動増の最大の理由は、監査法人の「合併」だった。2023年12月1日、PwCあらたが、PwC京都を吸収合併し、「PwC Japan有限責任監査法人」としてスタートし、75社が異動した。

 異動理由別では、最多は「合併」の83社(構成比31.4%)だった。 PwCあらた監査法人とPwC京都監査法人が、2023年12月1日付で合併。PwC Japan有限責任監査法人がスタートした。また。10月2日、中小監査法人の双研日栄監査法人、青南監査法人、名古屋監査法人が合併し、ふじみ監査法人が設立された。以下、監査期間が長期間にわたったことなどを理由とする「監査期間」の75社、「監査報酬」の67社などと続く。

 監査法人異動規模別では、「準大手→大手」が74社(構成比28.0%)で最多、「大手→中小」が66社、「中小→中小」が55社と続く。2023年に退任した監査法人数が最も多かったのは、PwC京都監査法人が77社、次いでEY新日本有限責任監査法人が42社、有限責任あずさ監査法人が34社で、大手3社が上位を占めた。一方、2023年に就任した監査法人数が最も多かったのはPwC Japan有限責任監査法人が75社で断トツのトップだった。

 産業別では、「製造業」の74社(構成比28.0%)が最も多かった。次いで「サービス業」が57社(同21.5%)、「運輸・情報通信業」が52社(同19.6%)、「小売業」と「卸売業」が同数で各25社(同9.4%)、「不動産業」が14社(同5.3%)、「建設業」が8社(同3.0%)、「金融・保険業」が7社(同2.6%)、「水産・農林・鉱業」が2社(同0.7%)。一方、「電気・ガス業」では監査法人の異動はゼロだった。

 監査法人は、監査工数が増加し、会計士の人数確保を迫られている。その一方で、若い会計士を中心に、業務の多忙化や待遇面に不満を抱えて一般企業に移る会計士も目立つ。2023年12月、PwC Japan有限責任監査法人の合併など、監査法人業界では大型再編が注目されている。だが、地道な人材確保に向けた業界環境の改善もまた、大きなうねりになっている。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198410_1527.html