中小企業の事業承継、後継者がいる企業は約5割

 東京商工会議所が発表した「中小企業の事業承継に関する実態調査」結果(有効回答数1661社)によると、中小企業の事業承継の現状は、後継者(候補含む)がいる企業は約5割(53.5%)だった。「後継者を決めていないが、事業は継続したい」企業は約3割。後継者との関係では、親族内が72.6%と高い割合を占める一方で、従業員(親族外)は27.4%だった。後継者が従業員と回答した割合は3年前の調査より約8ポイント上昇している。

 事業承継に要する期間は、後継者候補を選定してから、後継者を決定するまで3年以上要した企業は約4割(42.5%)。後継者を決定してから事業承継完了まで3年以上必要な企業は約5割(48.8%)にのぼった。事業承継には相応の時間を要するため、計画的に行う必要があるが、事業承継計画を「作成している」企業は13.9%、代表者の年齢が60歳以上の企業でも19.2%と2割にも満たない。

 事業承継の課題・後継者(候補含む)がいる企業の事業承継の課題(複数回答)は、上位3つが「後継者への株式の移転」(43.4%)、「後継者教育」(32.9%)、「従業員との関係構築」(32.7%)となった。また、自社の株価評価(相続税評価額)を過去に実施したことがない割合は33.5%と約3割、後継者がいる企業でも25.4%を占めた。後継者へ株式の移転を行う際の障害では、資金面で障害を抱える企業が多い。

 事業承継税制については、「利用・検討したことがある」割合は26.4%。「内容を知っているが、検討していない」企業(34.0%)の障壁として、「適用期限(2027年12月)までに事業承継を完了することができない」(23.9%)、「後継者候補はいるが、経営者としての人材育成が終わっていない」(32.9%)などが挙がった。「事業承継税制を知らない」企業(39.6%)では、「借入金・債務保証の引継ぎ」に課題を抱えている企業が多かった。

 事業継続に向けたM&Aについては、「後継者を決めていないが、事業は継続したい」「自分の代で廃業する予定」の企業の約9割はM&A(譲渡)を「検討したことがない」と回答。M&Aを検討しない理由(複数回答)では、「M&Aに対して良いイメージを持っていない」(26.5%)、「自社がM&Aの対象になるとは思えない」(24.6%)などが挙がった。一方で、従業員10名以下の企業がM&Aされていることも明らかとなっている。

 同調査結果は

https://tokyo-ci.meclib.jp/jigyoshoukei_survey2024/book/