電通はこのほど、わが国の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2023年日本の広告費」を発表した。それによると、2023年の総広告費は、通年で7兆3167億円(前年比3.0%増)となり、1947年の推定開始以降、前年に続き過去最高を更新した。上半期(1~6月期)は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴うリアルイベントの開催数増加や国内外の観光・旅行の活性化などにより回復がみられた。
下半期(7~12月期)は、夏から秋にかけての猛暑や中東問題などの影響を受けたものの、社会・経済活動の活発化に伴い「交通・レジャー」、「外食・各種サービス」、「飲料・嗜好品」を中心に広告需要が高まった。進展する社会のデジタル化を背景に増加傾向が続くインターネット広告費や人流の活発化に伴って増加した「イベント・展示・映像ほか」などのプロモーションメディア広告費が、広告市場全体の成長に寄与した。
「日本の広告費」は、(1)マスコミ四媒体広告費、(2)インターネット広告費、(3)プロモーションメディア広告費、に大きく3分類される。媒体別にみると、「新聞広告費」(前年比▲5.0%)、「雑誌広告費」(同2.0%増)、「ラジオ広告費」(同0.9%増)、「テレビメディア広告費」(同▲2.0%、地上波テレビと衛星メディア関連)を合計した「マスコミ四媒体広告費」は同▲3.3%の2兆3161億円と9年連続減少した。
「インターネット広告費」は前年比7.8%増の3兆3330億円となり、1996年の推定開始以来、一貫して成長を続け、「マスコミ四媒体広告費」を約1兆円上回る規模の市場となった。「プロモーションメディア広告費」は同3.4%増の1兆6676億円で、新型コロナの5類感染症移行に伴う各種イベントの再開や大規模化に加え、複合型商業施設やテーマパークなどにおける催事企画の増加により「イベント・展示・映像ほか」が大きく増加した。
媒体別広告費の詳細をみると、「新聞広告費」は、2023ワールド・ベースボール・クラシックやラグビーワールドカップ2023などの大型スポーツイベントの開催があったが、前年の北京2022冬季オリンピックの反動減や物価上昇などの影響を受け、通年では減少。業種別では、「交通・レジャー」が前年比14.9%増と増加。一方で、通信販売系の商材に関する出稿量が各業種で減少し、「流通・小売業」は同▲1.1%、「食品」は同▲9.3%となった。
「雑誌広告費」は、4~6月期以降に回復し、出版社が保有するコンテンツ制作やファンベースを活用した企画、案件増加により、通年では前年比2.0%増となった。「テレビメディア広告費」における地上波テレビは、番組(タイム)広告費が、2023WBCなど大型スポーツ大会、各種イベントの開催に伴い好調に推移したが、レギュラータイムの低調が影響し、前年の北京2022冬季オリンピックなどの反動減を打ち消す需要増には至らなかった。
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