正社員の人手不足は52.6%、非正社員も約3割

 帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万1431社)によると、2024年1月時点における全業種の従業員の過不足状況について、正社員が「不足」と感じている企業は52.6%だった。前年同月比0.9ポイント上昇、1月としてはこれまで最も高かった2019年(53.0%)に次ぐ高水準。また、非正社員では29.9%だった。前年同月から1.1ポイント減少したが、引き続き約3割の水準で推移している。

 正社員の人手不足割合を業種別にみると、主にIT企業を指す「情報サービス」が77.0%でトップ。15ヵ月連続で7割以上と高水準が続いているなか、過去最高を更新する結果となった。その背景には旺盛なシステム関連需要があり、企業からは人手不足がボトルネックとなっている現状が多くみられた。また、「建設」(69.2%)や活況なインバウンド需要が目立つ「旅館・ホテル」(68.6%)など8業種が6割台となった。

 働き方改革関連法によって2024年4月から時間外労働に上限規制が適用されることで、労働力不足の深刻化と、それによる機能の行き詰まりが懸念されている「2024年問題」。その主な対象である建設/物流/医療業の3業種について人手不足の現状をみると、正社員において物流業(道路貨物運送業)では72.0%、医療業では71.0%、建設業では69.2%の企業が人手不足を感じていた。

 非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」が72.2%となり、前年同月から8.2 ポイント減少と人手不足の緩和がみられたものの、引き続きトップとなった。次いで「人材派遣・紹介」(62.0%)では人手不足の高まりによる需要増によって、派遣人材の不足が目立っている。以下、正社員でも上位となった「旅館・ホテル」(59.6%)など、小売・サービス業を中心に個人向け業種が上位に並んだ。

 2023年は「賃上げ」を実施する傾向が例年より色濃く表れ、2024年もトレンドは継続されると予想される。賃上げは人材の確保・定着の観点でも大きな要素であり、その動向が注目される。2024年度における正社員の賃上げ実施見込みについては、人手不足を感じている企業においては65.9%となって「適正」(55.7%)と「過剰」(51.6%)を大きく上回り、賃上げに積極的である傾向がみられた。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240209.pdf