現在、日本社会全体において「人手不足」が大きな課題になっているが、リクルートが企業で働く人事担当者を対象に実施した「企業の人材マネジメントに関する調査」結果(有効回答数2761人)によると、企業の人員の過不足の状況について、「不足している」と回答した企業は半数以上(51.8%)に達した。また、直近1~2年の中途採用の状況について「難しくなっている」と回答した企業は66.6%に達した。
実際の採用状況は、「人手不足」と「人材不足」の両方の観点で、採用が成功している企業は35%未満だった。「人手不足」とは、必要な人数が採用できているかという観点。一方の「人材不足」とは、必要なスキルや経験を持った人が採用できているかという観点だ。特に「人材不足」の観点では、採用できている計が25.9%であり、約4社に1社しか求めるスキルや経験を持つ人材を確保できていないことが分かった。
今後の採用の見通し・方向性は、まず、新卒採用・中途採用ともに約半数の企業はこれまでと同等の採用を行う見込み(新卒採用:50.7%、中途採用:48.0%)。さらに、採用人数を「増やす見込み」と回答した企業は新卒採用で34.2%、中途採用で37.7%だった。これらを合計すると、新卒採用・中途採用ともに約85%の企業がこれまでと同等あるいはそれ以上の採用を実施する見通しであり、引き続き人材採用に積極的な姿勢が見える。
ここまで中途採用・キャリア採用の現状や今後の方向性について見てきたが、構造的な人手不足の中でますます中途採用・キャリア採用の重要性は高まっていくと思われる。実際に、企業の人事担当者が感じる人事課題に目を向けると、「中途採用・キャリア採用の強化」が全25項目のうち4番目に高い選択率(26.9%)であり、この結果から「新卒採用の強化」(21.0%)よりも課題感が強いことが分かる。
中途採用・キャリア採用をはじめとした人材採用の課題感が強い中で、多くの企業がこれまでの人材採用のやり方や制度を変える必要性を感じている。今回の調査では、57.5%の企業が人材採用のやり方や制度を変える必要性を感じていることが分かった。一方で、変更の必要性を感じている企業のうち、「見直しができている」と回答した企業は26.1%であり、変更の必要性を感じているが見直しまでには至っていない現状が見て取れる。
人材採用のやり方や制度を変える必要性を感じている企業が、見直しが必要と感じている理由(複数回答)は、最多は「これまでのやり方では必要な人材を確保できないため」(60.9%)。また、他の項目からは、企業の人材採用課題の多様な側面が見えており、具体的には、若手層や管理職・ミドルマネジメント層といった特定層の人材が必要だったり、組織の人材多様性の向上や異なるスキルを持つ人材の獲得ニーズが挙げられている。
同調査結果は
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20240222_work_01.pdf