2016年1月に日本銀行がマイナス金利を導入してから8年が経過した。マイナス金利解除の観測が市場に広がるが、すでに企業の借入金利は一部で上昇していることが分かった。東京商工リサーチが2月1~8日に実施した「金融政策に関するアンケート調査」結果(有効回答数4499社)によると、昨年1月と比べて借入金利が上昇したと回答した企業は16.1%にのぼった。
年内の金利上昇を予想する企業を合わせると約7割(69.5%)の企業が、金利上昇を言及している。資金調達の借入金利は昨年1月の水準と比較して今後どのように変化すると思うかについては、今後の金利上昇について、「2024年7~12月のあいだに上昇する」が最多の32.2%だった。また、「2024年6月末までに上昇する」は21.1%、「すでに上昇している」は16.1%にのぼる。
借入金利は、当該企業の担保や信用度などを含めて総合的に判断される。だが、多くの企業が「上昇」に言及し、市場の先行きの上昇局面を色濃く反映した結果となった。「すでに上昇している」と回答した企業を業種別にみると、トップは「洗濯・理容・美容・浴場業」の50.0%だった。また、今後(概ね向こう半年)の資金調達の借入金利についてのメインバンクよる説明は、最多は「今後の金利の話はしていない」で68.9%だった。
アンケート回答時期が2月初旬で、今年に入ってから金融機関の渉外担当者と未接触、あるいは折衝回数が少なかった可能性がある。一方、「金利引上げの可能性を示唆された」は21.8%、「金利引上げをはっきり伝えられた」は3.7%だった。こうした「引上げ」を言及した企業を業種別(業種中分類、回答母数10以上)で分析すると、トップは「運輸に附帯するサービス業」の51.7%だった。
メインバンクから今後の資金調達の借入金利について、既存の利率より0.1%、0.3%、0.5%の上昇を打診されたと仮定した場合の対応は、「受け入れる」企業は、上昇幅が0.1%では73.3%。0.3%では34.7%、0.5%は18.8%と金利に敏感で、反比例するように「借入を断念する」と「他行へ調達を打診する」の割合が上昇する。企業規模別では、0.5%上昇で「他行への調達を打診する」大企業が54.9%に対し、中小企業では60.5%にのぼった。
同調査結果は