中小企業の65.6%が人手不足、賃上げ実施予定6割超

 東京商工会議所及び日本商工会議所が発表した「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」結果(有効回答数2988社)によると、人手が「不足している」と回答した企業は65.6%となり、3社に2社が人手不足の厳しい状況が続いている。業種別にみると、「建設業」(78.9%)、「運輸業」(77.3%)、「介護・看護業」(76.9%)で8割近く、最も低い製造業(57.8%)でも約6割となり、あらゆる業種で人手不足の状況にある。

 人手不足への対応方法(複数回答)は、「採用活動の強化(非正規社員含む)」(81.1%)が8割を超えて最多。生産年齢人口が減少するなか、採用だけでなく省力化や多様な人材の活躍などの取組が求められるが、「事業のスリム化、ムダの排除、外注の活用」(39.1%)や、「女性・高齢者・外国人材など多様な人材の活躍推進」(37.3%)は4割弱にとどまり、「デジタル・機械・ロボットの活用」(26.6%)はさらに低く、3割に満たない。

 2024年度に「賃上げを実施予定」とする企業は61.3%と6割超。昨年度から3.1ポイント増と、賃上げに取り組む企業は着実に増加。うち、「業績の改善がみられないが、賃上げを実施予定(防衛的な賃上げ)」は60.3%と、依然6割が「防衛的賃上げ」を実施。従業員規模別では、5人以下の企業では、「賃上げ実施予定」は32.7%と3割強にとどまり、「賃上げを見送る予定(引下げ予定を含む)」が16.8%と2割近くとなった。

 業種別にみると、「賃上げを実施予定」とする企業は、「介護・看護業」(66.7%)、「製造業」(64.2%)、「建設業」(63.4%)が多く、「小売業」(48.7%)、「宿泊・飲食業」(54.1%)など、対消費者・BtoCを中心とする業種では他業種に比べ低い。2024年度の賃上げ率の見通しについては、「3%以上」とする企業が36.6%と4割近くに達し、年度から3.1ポイント増加。「5%以上」とする企業も1割(10.0%)あった。

 2023年10月の最低賃金引上げを受け、「最低賃金を下回ったため、賃金を引き上げた」企業は38.4%と引き続き高い水準。一方、人手不足や物価上昇が進むなか、「最低賃金を上回っていたが、賃金を引き上げた」とする企業は29.8%と昨年度から5.2ポイント増加。2024年度の最低賃金改定に対する考えは、「引き下げるべき」と「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」の合計は8.0ポイント増え、41.7%となった。

 同調査結果は

https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1202161