帝国データバンクが発表した「2024年問題に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1407社)によると、建設業や運送業、医師などでこれまで猶予されていた、時間外労働の上限規制が適用されることによって生じる人手不足や、輸送能力の低下などが懸念される「2024年問題」全般の影響は、「マイナスの影響がある」企業は59.9%となった。他方、「影響はない」は22.3%、「プラスの影響がある」は1.6%だった。
さらに、物流の2024年問題に限ってみると、「マイナスの影響がある」企業は68.6%となった。特に、『卸売』(79.6%)や『農・林・水産』(78.9%)など6業界で7割超の企業がマイナスの影響を見込んでいる。「2024 年問題」全般に対する具体的な影響(複数回答)は、「物流コストの増加」が66.4%と最多、「人件費の増加」(41.0%)、「人手不足の悪化」(40.0%)が4割台、「配送スケジュールの見直し」(32.4%)が3割台で続いた。
「2024年問題」のうち、特に物流の2024年問題に対する対応(予定含む)の有無は、「対応あり」とする企業は62.7%。他方、「特に対応しない」企業は26.4%と4社に1社となった。さらに、「対応あり」とした企業の具体的な対応策(複数回答)は、「運送費の値上げ(受入れ)」が43.3%でトップ、次いで、「スケジュールの見直し」(36.3%)や「運送事業者の確保」(24.9%)などが上位に並んだ。
業界別にみると、「運送費の値上げ(受入れ)」は、『運輸・倉庫』(51.5%)、『卸売』(50.2%)、『農・林・水産』(50.0%)で5割以上となったほか、DXなど「業務のシステム化や効率化の推進」は、『金融』(44.4%)や『不動産』(28.3%)、『サービス』(27.5%)で高く、「ドライバーの確保・育成」では、『運輸・倉庫』が53.6%と突出して高い。また、「荷待ち・荷役時間の把握・削減」は、総じて荷主側企業からの対策意識が低い様子がうかがえた。
物流の2024年問題へ「特に対応しない」理由(複数回答)は、「これまで通りで問題が生じず、対応する必要がない」が34.6%でトップ、「2024年4月以降、問題が生じた際に対応を検討する」(33.6%)が続いた。以下、「自社だけでは対応策が検討できない」(27.5%)や「どのように対応すればよいか分からない」(15.8%)が続き、2024年4月が直前に迫るなかでも、具体的な対策が見つからず、対応を決めかねている様子も表れている。
「2024 年問題」全般に対して求める支援策や政策(複数回答)については、補助金や助成金など「金銭的支援」(34.0%)と「人材育成・確保支援」(32.3%)が3割台で上位となった。以下、「高速道路料金などの見直し」(29.3%)や「時間外労働の上限規制の猶予期間の延長」(26.6%)、「ルールなどの周知徹底」(21.5%)が2割台で続いた。他方、自動運転やロボット技術など「新技術開発支援」(12.8%)は低位にとどまった。
同調査結果は