デジタルサービス市場の拡大によりプラットフォームを介して多くの国外事業者が国内市場に参入しているなか、国外事業者の納めるべき消費税の捕捉や調査・徴収が課題だが、諸外国では、事業者に代わってプラットフォーム事業者に納税義務を課すプラットフォーム課税が導入されている。2024年度税制改正では、わが国でも、国内外の事業者間の競争条件の公平性や適正な課税を確保するため、プラットフォーム課税を導入する。
プラットフォーム課税とは、国外事業者がプラットフォームを介して行うモバイルアプリの配信等につきプラットフォーム事業者が行った取引とみなして、消費税の納税義務を課すもの。導入に当たっては、国内の事業者に影響が出ないよう国外事業者が提供するデジタルサービスを対象とし、また、対象となる事業者は、高い税務コンプライアンスや事務処理能力が求められること等を考慮して、一定の規模を有する事業者とする。
具体的には、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う電気通信利用役務の提供のうち、国税庁長官の指定を受けた「特定プラットフォーム事業者」を介してその対価を収受するものは、特定プラットフォーム事業者が行ったものとみなす。国税庁長官は、プラットフォーム事業者のその課税期間に電気通信利用役務の提供に係る対価の合計額が50億円を超える場合には、その事業者を特定プラットフォーム事業者として指定する。
上記の要件に該当する者は、その課税期間に係る確定申告書の提出期限までに、その旨を国税庁長官に届け出なければならない。国税庁長官は、特定プラットフォーム事業者を指定したときは、その特定プラットフォーム事業者に対してその旨を通知するとともに、特定プラットフォーム事業者に係るデジタルプラットフォームの名称等についてインターネットを通じて速やかに公表するものとする。
指定を受けた特定プラットフォーム事業者は、上記の対象となる国外事業者に対してその旨を通知するものとする。特定プラットフォーム事業者は、確定申告書に対象となる金額等を記載した明細書を添付するものとする。これらの改正は、2025年4月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供について適用することとし、特定プラットフォーム事業者の指定制度に係る事前の指定及び届出については、所要の経過措置を講ずる。