日本政策金融公庫が発表した「取引先海外現地法人の業況調査」結果(有効回答数1109社)によると、足元の売上・損益状況及び今後の見通しは、前期決算期については「売上高増加企業割合」が47.7%(前回調査(2022年7月1日時点)55.4%)、「損益改善企業割合」が40.3%(同47.7%)と、前回調査から低下している。「売上高増加企業割合」は、「増加」、「横ばい」、「減少」との回答企業のうち、「増加」と回答した企業の割合。
今期決算期の見通しについては、「売上高増加(予想)企業割合」が34.9%、「損益改善(予想)企業割合」が32.9%と前期決算期から更に低下が見込まれている。また、経営課題としては、「賃金の上昇」が39.8%(前回調査32.7%)が目立つ。「仕入原価の上昇」を挙げる企業の割合は32.1%(同37.4%)と前回から低下したものの、引き続き高い水準にある。このほか、「物流の停滞」が1.4%(同14.6%)と大幅に低下した。
今後の事業展開における有望国としては、「ベトナム」が25.2%で10年連続1位となった。「インド」と回答した割合が前回の8.5%から16.9%へと上昇した一方、「中国」と回答した割合は同11.2%から4.7%へと大きく低下している。また、海外現地法人設立前の不安として、「社内人材(現地側)の確保」、「法規制・制度の把握」と回答した企業が多いものの、約7割以上の企業が不安を解消することができている。
「設立前の不安」と「設立直後の課題」の関係性をみると、「設立前の不安」と「設立直後の課題」が一致していた企業は、22.6%と少ないことが確認された。設立前の不安は解消したものの、設立後に新たな課題に直面している企業が多いことがうかがえる。「設立前の不安」と「設立直後の課題」が一致した主な項目としては、「販路確保・開拓」、「社内人材(現地側)の確保」となっている。
同調査結果は