帝国データバンクが発表した「ゾンビ企業の現状分析調査」結果によると、2022年度のゾンビ企業は25万1000社に急増し、2011年度に次ぐ2番目の多さだったことが分かった。同調査は、国際決済銀行が定める「ゾンビ企業」の基準である「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立10年以上」の定義に基づき、2022年度のゾンビ企業率を算出したもの。
帝国データバンクが保有する企業財務データベース「COSMOS1」(2023年11月末時点)において、2022年度の財務データが判明している「3年連続でICRが判明、かつ設立10年以上」の企業は10万1478社あった。このうち、「3年連続でICRが1未満、かつ設立10年以上」の企業は1万7387社を数え、この2つの数値をもとにゾンビ企業率を算出すると 17.1%にのぼることが判明した。
2022年度のゾンビ企業率17.1%を、同社保有の企業概要データベース「COSMOS2」収録の約147万社を母集団として当てはめると、2022年度のゾンビ企業数は約25万1000社と推計された。集計開始の2007年度以降で、2011年度(約27万4000 社)に次いで、2番目の推計社数となった(2010年度と同数)。2021年度(約19万6000社)から 5万5000社増え、ゾンビ企業数は3年連続の増加となった。
2022年度のゾンビ企業率17.1%は過去10年間で最も高く、東日本大震災後の2012年度(17.0%)と同水準。この結果、日本企業全体の約6社に1社で、企業の“ゾンビ化”が進んでいるとの見方もできる。2022年度のゾンビ企業率を業種別にみると、「小売」が 27.7%と最も高く、「運輸・通信」が23.4%、「製造」が17.8%で続いた。2021年度に比べると、全業種でゾンビ企業率が高まっており、これら3業種は全体平均の17.1%を上回った。
ゾンビ企業の財務状況については、企業の収益力を示す「売上高経常利益率」をみると、2022 年度のゾンビ企業平均は▲4.04%となった。全企業平均(2.75%)を6.79ポイント下回っており、2021 年度から改善したものの、ゾンビ企業の収益力は依然として低いままであることが分かる。「有利子負債月商倍率」をみると、2022 年度のゾンビ企業平均は 9.87 倍と、月商の約10倍の債務を抱えていることが分かる。
「有利子負債月商倍率」は2021年度からわずかに改善傾向はみられるが、ゾンビ企業は全企業平均(5.58倍)の2倍近くにのぼり、依然として過剰債務の状態が続いている。企業の安定性を示す「自己資本比率」をみると、2022年度のゾンビ企業平均は▲5.36%。2021年度からさらに悪化しており、債務超過状態が続いた。全企業平均(28.29%)と比べると、ゾンビ企業は会社経営の安定性で大きく見劣りする状態にあることが分かる。
同調査結果は