23年企業の休廃業・解散は約6万件、4年ぶり急増

 帝国データバンクが発表した「全国企業の休廃業・解散動向調査」結果によると、2023年に全国で休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む)は5万9105件と約6万件にのぼった。年間で4.03%の企業が市場から退出・消滅した計算になる。23年初旬まで減少傾向が続いた休廃業は夏以降に急増し、16年以降で最少だった22年(5万3426件)からは10.6%の急増となったほか、4年ぶりに前年を上回った。

 休廃業する直前期の決算で当期純損益が「黒字」だった割合は51.9%となり、半数超が黒字休廃業だったものの、その割合は過去最低を更新。この結果、「資産超過」かつ「黒字」状態での休廃業が判明した企業の割合は全体の16.1%となり、2016年以降で最も高かったコロナ禍直後の20年(17.0%)に次いで過去5年間で2番目に高い水準だった。総じて23年の休廃業動向は、特に直近の損益が大幅に悪化した企業が多い点が特徴となる。

 2023年の休廃業動向は、前年から3割超の急増が見込まれる企業倒産とともに増加。休廃業はこれまで、持続化給付金や雇用調整助成金など「給付」による手厚い資金繰り支援が功を奏し、コロナ禍の厳しい経営環境下でも抑制された水準で推移。しかし、23年に入りこれらの支援策が徐々に縮小され、加えて電気代などエネルギー価格を始めとした物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営問題が押し寄せた。

 収益面・財務面で傷ついた中小企業では先送りしてきた「事業継続か否か」の決断を迫られ、さらなる経営悪化に陥る前にやむなく会社を畳んだ「あきらめ廃業」を余儀なくされた中小企業が多く発生した可能性がある。休廃業時の経営者年齢は、2023年平均で70.9歳となり、3年連続で70歳を超えたものの、22年からは0.1歳低下した。ピーク年齢も74歳と前年から1歳低下し、いずれも前年を下回るのは16年以降で初めてとなる。

 業種別では全業種で前年から増加。最も件数が多い「建設業」(7628件)は、前年から10%増加し、過去5年で最多だった。前年からの増加率が最も高いのは「卸売業」の3527件(12.2%増)で、「小売業」(3807 件)の 11.3%増など5業種で前年比1割超の大幅増加となった。業種を詳細にみると、前年比で最も増加したのは「税理士事務所」(30件→81件、170.0%増)だった。

 税理士事務所は、従前から税理士の高齢化が課題だった中で、競争激化による顧問企業の減少、顧問料の低下など経営環境の悪化、インボイス制度の導入など新たな業務のスタートなども影響したとみられる。増加率上位の業種のうち、「書店」(33件→53件、60.6%増)は4年ぶりに50件台に到達。「中古車小売」(110件→166件、50.9%増)は過去5年で最多。一方、前年から最も減少したのは「新聞小売」(73件→52件、▲28.8%)だった。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240105.pdf