東京商工リサーチが12月上旬に実施した「従業員の欠員率に関するアンケート調査」結果(有効回答数3669社)によると、約7割(71.1%)の企業が人手不足と回答したことが分かった。新型コロナが5類に移行し、インバウンド需要の急回復と同時に、経済活動が活発に動き出したが、その一方で人手不足が深刻さを増している。このうち、欠員率「5%以上」の企業は51.4%と半数に達した。
欠員率は、常用労働者数に対する求人数の割合で、数値が高いほど人手不足感が高いことを示す。コロナ禍から経済活動の本格化で、あらゆる産業で深刻な人手不足が広がっている。欠損率の最多は、「5%以上」で51.4%を占めた。「5%未満」では19.7%で、人手不足と考える企業は、全体の7割(71.1%)を占めた。規模別では、「5%以上」は大企業50.1%、中小企業51.5%で、ともに半数を占めた。
欠員率が「5%以上」で、最も構成比が高い産業は「農・林・漁・鉱業」で75.0%だった。農・林・漁・鉱業は、農業従事者の高齢化や就農人口の減少が深刻な問題となっている。次いで、2024年問題が迫る「建設業」が71.3%、DX化の推進などで需要が旺盛な「情報通信業」が66.9%で続く。「5%以上」と「5%未満」を合わせた構成比が8割を超える産業は、「建設業」(87.0%)、「農・林・漁・鉱業」(81.2%)の2産業だった。
これに「情報通信業」(76.9%)、「運輸業」(75.7%)、「サービス業他」(71.2%)を加えると5産業が7割を超える。特に、建設業は人手不足と感じている企業が約9割で、深刻さが際立つ。一方、「不足していない」の最高は、「不動産業」で47.9%とほぼ半数を占めた。不動産業は、地方や郊外の戸建てを中心とした在庫効率の悪化や、新設着工戸数が減少傾向にあることを反映しているとみられる。次いで、「金融・保険業」が42.8%で続く。
欠員率が「5%以上」の構成比を業種別(中分類、回答母数10以上)でみると、最高が「宿泊業」で85.0%と唯一、8割を超えた。宿泊業は、コロナ禍の市場縮小から急激な需要回復への対応が遅れ、人手不足が深刻化している。コロナ禍で業績が大幅に落ち込み、人員削減を実施した企業も多かっただけに、その反動が大きく表れた。以下、「職別工事業」72.7%、「設備工事業」71.6%、「総合工事業」70.4%と続き、建設業が目立つ。
同調査結果は↓