帝国データバンクが発表した「2024年の景気見通しに対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1396社)によると、2024年の景気見通しは、「回復」局面と見込む企業が2023年の景気見通しから1.3ポイント増の12.8%となった。企業からは「正常な経済活動に戻りつつあるのは良い兆し。積極的な設備投資・事業推進を期待」(専門サービス、茨城県)との明るい声が聞かれた。また、「踊り場」局面は42.1%と2年ぶりに4割を超えた。
他方、「悪化」局面を見込む企業は、2023年の景気見通しから5.0ポイント減の20.3%と5社に1社となった。企業からは「世界情勢・国内情勢ともに明るい話題がないため、マイナス方向に動く感じがする」(運輸・倉庫、北海道)や、「物価高騰、増税、人手不足、高齢者人口の増加、2024 年問題など明るい材料が見当たらない」(建設、東京都)など先行きを不安視する声が寄せられた。
2024年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料(3つまで回答)は、「原油・素材価格(の上昇)」が59.0%(前年比13.7ポイント減)で最も高かった。2023年の後半に入ってから大幅な価格変動がみられないことなどもあり、前年から大きく低下。次いで「人手不足」(40.5%、同14.4ポイント増)が前年より急増した。以下、「為替(円安)」(37.4%、同6.1ポイント減)や「物価上昇(インフレ)」(26.7%、同6.6ポイント減)が続いた。
さらに、日本銀行の金融緩和政策の見直しにともなう「金利」(17.8%、前年比6.4ポイント増)の上昇による景気への悪影響が懸念されたほか、運送業や建設業などにおいて、猶予されていた時間外労働時間の上限規制が適用されることから生じる諸問題を懸念し「2024年問題」(17.0%、-)、「インボイス制度」(14.8%、同2.5ポイント増)、「地政学的リスク」(13.9%、同4.6ポイント減)が上位に並んだ。
今後、景気が回復するために必要な政策(複数回答)は、「人手不足の解消」が前年より大幅に高まり40.7%(前年比12.0ポイント増)でトップ。以下、補助金・給付金などの「中小企業向け支援策の拡充」(34.8%)や「原材料不足や価格高騰への対策」(34.6%)、「個人向け減税」(33.1%)、「個人消費の拡大策」(32.4%)が3割台で続いた。原材料価格の高騰や中小企業向けの施策が必要とされるなか、今後は「人手不足」への政策が最重視される。
同調査結果は