社員1人あたりの交際費、月平均「1万8192円」

 2024年度の与党税制改正大綱では、取引先や仕入先などへのもてなしや接待などで経費扱いが認められる「交際費特例」について、1人あたり飲食代の金額基準が5000円から1万円に引き上げられる方針が明らかとなった。しかし、相次ぐ物価高や価格転嫁難などで収益の確保が見通しづらいなか、大企業や業績の伸び悩む企業では「経費扱い」での飲食奨励に慎重姿勢を崩さないケースも考えられ、今後の動向が注目される。

 帝国データバンクがこのほど発表した「全国企業の交際費支出動向調査」によると、2022年度決算(2022年4月~23年3月)のうち、「接待交際費(交際費)」の支出動向が判明した企業約15万社・500万人分の交際費を推計した結果、社員1人あたりの1ヵ月における交際費の平均(トリム10%)は推計で1万8192円/月となり、前年度(1万6653円)から2割超の大幅増加となった。

 交際費には贈答品などを含むため、すべてが飲食代として計上されたものではないが、1人あたり5000円分の飲食代を「交際費」として経費処理したと仮定した場合、月間で社員 1人あたり3.6人分の飲食需要が発生した計算になる。2019年度には過去10年で最高額となる2万3383円/月に達した。コロナ禍での行動制限に伴う「飲食禁止」といった社内規定も背景に、21年度は1万6653円/月と過去10年で最も少なかった。

 なお、11月までに判明した2023年度決算企業の1人あたり交際費平均は約1万8400円/月前後で推移しており、コロナ禍前で最高だった19年度の9割前後まで回復する可能性がある。支出額別では、22年度で最も多いのが社員1人あたり「5千円未満」で24.7%を占めた。全体では、月1万円未満の合計が50.9%と多い一方で、「2万円未満」(17.6%)など1万円以上の支出がある企業も多く、交際費の支出は二分された状況となっている。

 業種別にみると、2022年度における社員1人当たり交際費が最も高いのは「不動産業」で5万9515円だった。管理会社や協力先となる建設企業など、人的な交流範囲が多岐にわたることも要因とみられる。「職別工事業」(2万9000円/月)や、自動車ディーラーを含む「自動車・自転車小売」(2万3707円/月)など、1人あたり1ヵ月の交際費が2万円を超えたのは8業種にのぼった。

 同調査結果はhttps://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231207.pdf