「改正電帳法」への対応完了、28.5%と3割に届かず

 10月にスタートしたインボイス制度に続き、2024年1月から本格的に運用が始まる改正電子帳簿保存法(電帳法)。電帳法では、原則として電子取引を行っている全ての企業や個人事業主に対し、2024年1月からは、メールやクラウドといった電子的な方法で受領した請求書や領収書などについて、電子データによる保存が義務付けられる。そこで、帝国データバンクは「電子帳簿保存法に対する企業の対応状況アンケート調査」を実施した。

 その調査結果(有効回答数1023社)によると、電帳法について、対応の義務化が目前に迫るタイミング(調査実施は12月8~12日)での自社の対応状況は、企業の28.5%が「すでに対応できている」と回答。一方で、完全には対応していないが「一部対応できている」は39.5%、「現時点未対応だが、対応予定はある」は23.9%となり、6割超の企業(63.4%)が対応する予定でありながら完了していない状況にある。

 規模別にみると、「すでに対応できている」では、「大企業」(38.8%)が4割弱となる一方で、「中小企業」(26.8%)や「小規模企業」(21.2%)は「大企業」より10ポイント以上低かった。「大企業であっても完全に対応するのは難しいと聞くので、中小企業には厳しすぎる内容」(機械・器具卸売)といった声が寄せられ、「大企業」に比べ「中小企業」や「小規模企業」で対応が遅れている様子がうかがえた。

 電帳法への対応にともなう懸念事項・課題の有無については、「懸念・課題あり」の企業は95.6%にのぼった。「懸念・課題なし」は4.4%だった。具体的な懸念や課題(複数回答)としては、「業務負担の増加(他業務への影響含む)」が69.8%で最も多く、次いで「社内での理解・連携不足」(43.4%)が続き、「業務を適切に管理、遂行できるか不安」(39.2%)や「保存要件を満たしているか不安」(36.3%)などが上位に並んだ。

 電帳法への対応に懸念や課題では、業務負担の増加を懸念する声が圧倒的に多かった。また、社内連携や法律に則った内容で適切に運用できるのかといった不安を抱える企業も少なくない。企業においてはDXが浸透すれば、人手不足に対応できるなどのメリットはあるが、定着までに一定の時間を要することから、中小企業を中心にシステムなどの導入コストや運用面でのサポートといった負担軽減につながる施策が求められる。

 同調査結果はhttps://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231206.pdf