円安や原材料の高騰を起因とする値上げが深刻化している。11月に値上げが判明した品目数は795品で、このうち533品(構成比67.0%)が円安や世界的な原材料高騰・調達難による値上げだった。また、11月に値上げを公表した社数は14社で、このうち10社(構成比71.4%)が円安、輸入原材料の高騰を理由に挙げた。輸入原材料の高騰を招く円安は、当面続くとみられ、値上げ等の店頭価格への影響は年明け以降も続きそうだ。
東京商工リサーチは国内の主要飲食料品メーカー200社を対象に、2023年1月以降の価格改定(値上げ)商品を定点観測している。2023年1月以降の出荷・納品分の値上げ(見込みを含む)が公表された商品は、2023年分は3万2159品に達し、2024年分も960品が判明。飲食料品の価格改定は、ハム・ソーセージ、だし類などで1年に2回以上の価格改定が行われた商品もあり、メーカー各社は物価上昇の対応を迫られている。
年初から春は、国内外の「原材料の不足感」から来る値上げが大半だった。円安による値上げは6月(公表ベース、品目数)の8.4%を底に低い水準で推移していたが、8月以降は9月を除き40%を超える水準に上昇。11月分は67.0%と初めて半分以上を占めた。政府による輸入売渡価格が引き下げられた小麦を除き、果物やオリーブオイル、牛の飼料など、あらゆる輸入原料の価格が高騰、家計に与える影響は当面厳しい展開が続きそうだ。
2023年1~11月の値上げ対象の3万2159品の理由別は、「原材料」が93.2%を占めてトップ。次いで「資源・燃料」が82.2%、「物流」が66.0%と続く。原材料は、飼料価格の急騰でバター類を12月に乳製品大手・中堅が各社値上げを行う。円安の長期化による影響も深刻化し、「為替」の構成比は13.0%と前月(12.6%)から0.4ポイント上昇、3ヵ月連続で拡大している。「為替」を要因とする値上げは、今後も増加するとみられる。
円安や海外からの調達コスト上昇(飼料含む)を主要因とした値上げの割合は8月以降、上昇。11月判明分では、社数の71.4%、品目数の67.0%と、ともに半数を超えた。1月はロシアのウクライナ侵攻による世界的な流通コストの上昇や小麦価格の上昇が大半を占めたが、ドル円相場が1ドル=145円台を付けた8月中旬以降、国内の原材料調達や物流コスト以上に、海外からのコスト高を要因とした値上げが深刻化している。
2023年値上げ分の3万2159品の分類別では、最多は「調味料」で約3割(29.0%)を占めた。調味料は、ドレッシングや業務用スープ類に加え、原材料を輸入品に頼る中華調味料、香辛料などが目立つ。2024年もトマトの輸入コストの上昇でケチャップやパスタソースの値上げが2月以降に予定されている。次いで、「加工食品」(構成比24.8%)、「飲料・酒」(同17.9%)が続いた。
同調査結果は