日本政策金融公庫が取引先企業を対象に9月中旬に実施した「小企業の雇用に関する調査」結果(有効回答数6502社)によると、現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した企業割合は38.5%と、前回調査(2022年7~9月期)から2.6ポイント上昇した。一方、「過剰」は6.8%と、同1.9ポイント低下。従業員過不足DI(「不足」-「過剰」企業割合)は、同4.6ポイント上昇し、31.8となった。上昇は3年連続。
従業員過不足DIを業種別にみると、卸売業を除くすべての業種で上昇。「不足」割合は、「運輸業」が59.4%と最も高く、次いで「建設業」(57.7%)、「情報通信業」(55.1%)の順。また、従業員数が1年前と比べて「増加」と回答した企業割合は11.4%と、前回調査における今後の方針(25.8%)を下回った。業種別にみると、「運輸業」が20.3%と最も高く、次いで「情報通信業」(19.4%)、「飲食店・宿泊業」(14.3%)の順となっている。
従業員数の増加理由(3つまで回答)をみると、「将来の人手不足への備え」と回答した企業割合が63.1%と最も高く、次いで「受注・販売が増加」(34.7%)、「技能継承のため(従業員の高齢化への対応)」(31.1%)の順。従業員数の減少理由(同)をみると、「転職者の補充人員を募集したが採用できず」と回答した企業割合が43.2%と最も高く、次いで「受注・販売が減少」(39.5%)、「受注・販売が減少見込み」(19.8%)の順となっている。
人手不足の影響(複数回答)については、「人手が足りず、需要の増加に対応できない」と回答した企業割合が46.7%と最も高く、次いで「人手を確保するために賃金を上げている」が41.9%。人手不足への対応(同)では、「増員(パート・アルバイトを含む)」、「仕事の外注化」、「仕事のプロセス(段取り)の効率化」、「従業員の多能化・兼任化」の回答企業割合が低下する一方、「賃金の引上げ」、「仕事(受注量)の絞り込み」は上昇した。
給与水準DI(1年前と比べて「上昇」企業割合-「低下」企業割合)は前回調査から9.2ポイント上昇の35.7。給与水準が「上昇」した企業の割合を従業者規模別にみると、規模が大きいほど高く、前回調査と比べ、すべての規模で「上昇」企業割合が高くなっている。給与水準DIを業種別にみると、すべての業種で上昇。給与が上昇した企業の割合は、「情報通信業」が57.6%、「飲食店・宿泊業」(45.9%)、「製造業」(45.4%)の順となった。
同調査結果は