帝国データバンクが発表した「全国女性社長分析調査」結果によると、2023年の女性社長比率は10月時点で8.3%となり、前年の8.2%を上回り過去最高を更新した。小幅な上昇にとどまり依然として一ケタ台が続き、統計として遡れる1990年(4.5%)から緩やかに上昇しているものの、低水準にとどまっている。いわゆる「女性管理職30%目標」が2013年に政府から明確に打ち出され、今年で10年となるが、目標にはほど遠い。
女性社長を年齢構成比でみると、「60~64歳」 が13.4%で最も高かった。次いで「70~74 歳」が13.3%となり、僅差で続いた。日本全体で高齢化が進行しているなか、女性社長でも同様の傾向が表れている。60歳以上の割合は59.7%となり、1995年(42.6%)から17.1ポイント上昇し、全体の約6割を占めた。また、後期高齢者に該当する75歳以上の割合は20.6%となり、初めて2割を上回った。
都道府県別では「徳島県」が12.0%で最も高かった。前年から0.4ポイント上昇し2年連続のトップとなった。さまざまな捉え方ができるなかで、古くからの言い回しで“讃岐男に阿波女”という表現もあり、地域の特色が表れているともいえるだろう。徳島県など四国地方をはじめ、西日本エリアを中心に女性社長比率が高い傾向が見られた。また、2013年以降は首位が続いていた「沖縄県」は11.6%となり、11年ぶりにトップから退いた。
業種別の女性社長の比率をみると、「不動産」が17.3%になり、他業種に大きく差をつけて最も高かった。次いで「サービス」(11.2%)や「小売」(10.9%)といった、「BtoC」業態が中心の業種が続き、全体(8.3%)を上回った。他の7業種は8%以下で推移している。なかでも「建設」は5年連続横ばいの4.8%で低水準が続いており、18年連続の4%台、27年連続で最も低かった。
就任経緯別でみると、「同族承継」による就任が50.6%となり、全体の半数以上を占めており最も高かった。男性社長の40.2%と比較して10ポイント以上高く、女性社長における中心的な就任経緯となっている。次いで「創業者」が35.2%で2番目に続いた。男性社長の40.1%より4.9ポイント低く、前年からも横ばいとなり、全体的な傾向は前年調査時点と大きくは変わっていない。
女性社長の出身大学別では、「日本大学」が前年比8人増の277人となり4年連続で最多となった。同大学では、過去最高の女性社長数を更新した。次いで「慶應義塾大学」(255人、前年比10人増)がトップと22人差で続き、「早稲田大学」(239人、同8人増)も含め3つの大学で200人を超えた。主に首都圏の私立大学が上位を占め、上位10校の顔ぶれは前回調査から変わっていない。
同調査結果は