日本政策金融公庫が発表した「経営者の引退と廃業に関する調査」結果(有効回答数271件)によると、廃業時の年齢は、「60~69歳」が41.0%と最も多く、次いで「70歳以上」が29.5%、「50~59歳」が22.9%、「45~49歳」が6.6%となっている。平均年齢は64.2歳で、15~19年廃業の58.8歳、10~14年廃業の57.9歳から上昇。引退までの経営年数は、「10~19年」が31.0%、「20~29年」が27.3%、「30年以上」が21.8%。
後継者の検討状況をみると、「後継者を探すことなく事業をやめた」が95.9%を占めている。後継者を探すことなく廃業した理由(複数回答)は、「そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていなかった」が55.0%と最も多く、次いで「事業に将来性がなかった」が21.5%となっている。「子どもに継ぐ意思がなかった」は8.5%で、15~19年廃業の5.7%、10~14年廃業の3.5%から上昇している。
誰かに継いでもらいたいと思っていなかった理由(複数回答)は、「自分の趣味で始めた事業だから」(30.1%)、「個人の免許・資格が必要な事業だから」(25.9%)、「高度な技術・技能が求められる事業だから」(23.8%)が多い。15~19年廃業、10~14年廃業で20%台の「経営者個人の感性・個性が欠かせない事業だから」や「経営者個人の人脈が欠かせない事業だから」は10%台に低下している。
事業譲渡の検討有無は、「検討した」の割合は4.8%で、95.2%が「検討しなかった」と回答。「検討した」の割合は15~19年廃業の7.8%、10~14年廃業の10.5%から低下している。事業譲渡を検討しなかった理由(複数回答)は、「価値に見合う対価を得られない」が21.7%で最も多く、「不動産を自宅と兼用している」が20.9%、「経験のない相手には譲り渡したくない」が14.0%、「譲渡にかかる手続きが大変そう」が12.0%など。
廃業を決めた時の年齢は、「60~69歳」が41.0%、「70歳以上」が28.8%と多く、平均は63.8歳。廃業を決めてから廃業するまでの期間は、「1年未満」が87.5%を占めている。廃業を決めた時に考えた廃業予定年齢は、「70歳以上」が46.1%で最も多い。廃業予定年齢の廃業時の年齢との差をみると、「0年」が44.3%と最も多い。「1~5年」が35.1%、「6年以上」が15.9%で、約半数は予定より早く廃業している。
同調査結果は
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings231122_1.pdf