国税庁が公表した「2022事務年度の所得税等調査」結果によると、今年6月までの1年間の所得税調査は、前事務年度に比べ6.3%増の約63万8千件行われた。そのうち、約53%に当たる33万8千件(前事務年度31万7千件)から25.5%増の9041億円の申告漏れ所得を見つけた。その追徴税額は29.3%増の1368億円。1件平均142万円(同120万円)の申告漏れに対し21万円(同18万円)を追徴した。
実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は、前事務年度に比べ48.5%増の3万6千件を実施、うち約87%に当たる3万1千件から34.1%増の総額5204億円の申告漏れ所得を見つけ、26.1%増の980億円を追徴。件数では全体の5.6%に過ぎないが、申告漏れ所得金額は全体の57.6%を占めた。調査1件当たりの平均申告漏れは1456万円と、全体平均の142万円を大きく上回る。
また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は、前事務年度比43.8%増の1万1千件行われ、うち7千件から23.4%増の390億円の申告漏れを見つけ、35億円を追徴。1件当たりの平均申告漏れは369万円。一方、簡易な接触は、4.1%増の59万2千件行われ、うち30万件から14.8%増の3448億円の申告漏れを見つけ353億円を追徴。1件当たりの平均申告漏れは58万円だった。
実地調査トータルでは、前事務年度比47.4%増の4万6千件の調査を行い、うち3万8千件から33.3%増の5594億円の申告漏れを見つけ、1015億円を追徴。つまり、実地調査件数は全体の7.3%と1割にも満たないが、申告漏れ所得全体の6割強(61.9%)を把握しており、高額・悪質な事案を優先して深度ある調査を的確に実施する一方、短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な所得税調査が実施されていることが裏付けられた。
このように、新型コロナ感染症の影響による制限が緩和されて調査件数が増加した中で、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査した結果、追徴税額の総額1368億円は、過去最高額となった。なお、業種別1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種は、「経営コンサルタント」(3367万円)が昨年に引き続きトップ、次いで「くず金卸売業」(2483万円)、「ブリーダー」(2075万円)の3業種がワースト3だった。
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https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf