「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」を調査

 リクルートが、従業員規模30人以上の企業に勤める2761人を集計対象に、人事制度のうち「人材の評価」、「賃金・報酬」、「昇進・昇格」に着目して実施した「企業の人材マネジメントに関する調査」結果からは、いずれの制度も約半数の企業が変える必要性を感じていることが分かった。特に、昇進・昇格制度を変える必要性を感じている理由の最多は、「年功序列の昇進・昇格を是正する必要があるため」だった。

 年功序列の昇進・昇格は、「日本型雇用」の特徴の一つだが、今の経営環境に適した見直しを考えているようだ。また、上記3制度を全て見直している企業は、人材採用ができており、かつ従業員エンゲージメントが高いことも分かった。人事の諸制度は、それぞれがつながりを持っており、「人材マネジメントプロセス」とも呼ばれる。3つ全てにおいて一貫性のある見直しを行い、その内容を従業員や採用見込者に伝えることが求められている。

 約5割の企業が、「人材の評価」、「賃金・報酬」、「昇進・昇格」の各制度の変更や見直しの必要性を感じている。「強く感じている」と「やや感じている」の合計は、「人材の評価」が45.6%、「賃金・報酬」が52.3%、「昇進・昇格」が45.9%。ただし、「見直しの必要性を感じている」企業が、実際に各制度の変更ややり方の見直しが「できている」と「ややできている」の合計は各項目いずれも約3割にとどまった。

 各制度を変える必要性を感じている理由(複数回答)は、まず、人材の評価制度については、「従業員にとって、より納得感の高い評価にするため」が58.8%で最多。例えば、従業員の成果を正確に反映できるような評価のプロセスや内容にしていくことで、従業員がより納得感を持てるようになり、高い成果につながっていくと考えられる。続いて、賃金・報酬制度では、「従業員のパフォーマンスを引き出すため」が57.3%で最多だった。

 最後に、昇進・昇格制度については、「年功序列の昇進・昇格を是正する必要があるため」と答えた企業が55.1%で最多。次に多かったのは「若年層の抜擢人事を可能にするため」(47.2%)。いわゆる日本型雇用では、年功序列の昇進・昇格になりやすい傾向にあったが、回答結果からは、昇進・昇格の機会を、年功序列とは異なる評価軸で決めていきたいという意識が広がっている様子がうかがえる。

 同調査結果は

https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20231116_hr_01.pdf