日本政策金融公庫が信用保証利用企業動向調査(2023年7~9月期実績)の中で実施した「事業承継に関する意識等についての特別調査」結果(有効回答数4125社)によると、事業承継の時期については、「今後10年以内」と回答した企業は36.1%と前回調査(1~3月期)と比べ、4.9ポイント増加している。60歳以上の層においては55.3%と6.5ポイント増加し、60歳未満の層でも3.5ポイント増加している。
一方、「自分の代で廃業予定」と回答した企業は、9.0%と前回調査と比べ4.1ポイント増加し、60歳以上、60歳未満のいずれの層においても増加している。また、事業承継を考えている企業の後継者の決定状況については、「後継者は決まっている」が37.8%となっており、「後継者候補はいる」(27.0%)と合わせると64.8%が後継者が決まっているか、後継者候補はいる結果となっている。
現経営者の年齢層別にみると、年齢層が高くなるほど「後継者は決まっている」と「後継者候補はいる」を合わせた割合が、60歳以上では7~8割と全体平均を上回っており、60歳が、後継者準備に関する一つの節目であると考えられる。事業承継時期別にみると、「今後5~10年以内」までは「後継者は決まっている」と「後継者候補はいる」を合わせた割合が7割を超えているが、「10年より先」、「時期は未定」では5割未満にとどまる。
事業承継時期が遅くなるほど「後継者は決まっている」と「後継者候補はいる」を合わせた割合が低くなっている。事業承継に関する相談状況については、「相談している」が36.5%となっており、事業承継時期が近くなるほど、相談している割合が高くなっている。事業承継に関する相談先(複数回答)は、「税理士、公認会計士」との回答企業割合が65.6%と最も多く、次いで「親族」(34.1%)、「メインバンク」(17.1%)の順になっている。
事業承継の課題(複数回答)については、「後継者の育成」が51.8%と最も多く、次いで「後継者の選定・確保」(27.4%)、「取引先との関係維持」(23.4%)の順。事業承継に関して金融機関や保証協会に期待する支援(複数回答)では、「期待する支援あり」の中では「事業承継に役立つ税制面での情報提供」が26.7%と最も多く、次いで「事業承継に関する借入の相談」(25.4%)、「現経営者の担保・保証の解除」(19.1%)の順になっている。
なお、自分の代で廃業を予定する企業の割合については、9.0%となっているが、廃業予定の企業を従業員規模別にみると「5人以下」の割合が89.6%と約9割となっている。廃業する(予定の)理由(複数回答)については、「もともと自分の代で廃業予定」が56.8%と最も多く、次いで「適当な後継者が見つからない」(31.3%)、「現在の事業に将来性がない」(30.4%)の順になっている。
同調査結果は