今冬ボーナス、コロナ禍からの回復続くもペース鈍化

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングがこのほど発表した「2023年冬のボーナス見通し」によると、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」ベースで見た民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)の2023年冬のボーナスは、一人当たり平均支給額は40万1438円(前年比 +2.2%)と3年連続での増加を予想している。ただし、コロナ禍からの回復は続くも、回復ペースは鈍化していると分析している。

 回復が遅れていた製造業も、コロナ前のピークだった2018年をようやく上回り、全体の一人当たり支給額はリーマンショックで大幅に落ち込む直前の2008年以来、15年ぶりに40 万円を超える可能性がある。もっとも、夏と同様、コロナ禍での落込みからの回復が続いているものの、増加幅は前年から縮小するうえ、支給労働者割合も低下するなど、コロナ禍からの回復が一巡しつつあることが強く意識される結果となるとみている。

 ただし、ボーナスに影響する企業業績や雇用情勢は依然堅調で、ボーナス支給額や支給対象などは当面改善が続く見込みだ。企業の経常利益 (全規模 、金融保険業を除く全産業 、季節調整値)は、コロナ禍の最悪期を脱した2020年7~9月期以降、増加傾向が続き、2023年4~6月期には過去最高を更新した。また、労働需給はよりタイトとなり、雇用情勢も堅調を維持している。

 支給労働者割合は、コロナ禍で一時的にボーナス支給を取りやめていた事業所で支給を再開する動きが前年まで2年連続でみられたが、今年はその動きも一服し、82.4%(前年差-0.2%ポイント)と3年ぶりに低下が見込まれる。それでも、雇用者数の増加が続くなか、ボーナスが支給される労働者数は4350万人(前年比+1.6%)と、コロナ前を上回った昨年から一段と増加し、過去最多を更新する公算が大きい。

 一人当たりボーナス支給額と支給労働者数の増加を反映した2023年夏のボーナスの支給総額(一人当たり支給額×支給労働者数)は、17.5兆円(前年比+3.8%)と3年連続で増加し、2000年以来の高水準が見込まれる。ボーナスの支給総額は物価上昇をわずかではあるが上回って増加し、個人消費の回復を下支えすることが期待される、としている。

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