日本生産性本部が発表した「メンタルヘルスの取組みに関する企業アンケート調査」結果(有効回答数169社)によると、「心の病」が最も多い年齢層について、10~20代との回答が43.9%に急増して過去最多を記録し、30代(26.8%)を初めて上回って「心の病」が最も多い年代となった。2010年までは30代との回答が圧倒的に多かったが、2012年に30代が大幅に減少し、40代が大幅に増加したことでトレンドが変化した。
自社における「心の病」が「増加傾向」と回答した割合は、2006年の61.5%をピークに2019年を除いて減少が続き、前回調査(2021年)では22.9%と過去最低となっていた。しかし、今回調査では「増加傾向」の回答が45.0%となり、前回調査(2021年)時と比較して大幅に増加する結果となった。これは「増加傾向」と「横ばい」の順位が入れ替わった2010年以来の水準となっている。
近年関心が高まっているウェルビーイング(健康、幸福、活力)向上への現在の取組み(複数回答)は、「ハラスメント対策の推進」(66.9%)、「健康経営・健康増進施策の推進」(62.7%)、「柔軟な勤務時間制度の導入」(55.6%)が上位。一方、今後取り組みたい施策(同)は、「従業員エンゲージメント向上施策の充実」(66.3%)、「健康経営・健康増進施策の推進」(54.4%)、「キャリア開発・リスキリングの促進」(49.1%)と続いた。
従業員エンゲージメント(従業員と組織との相互の結びつき)が高いと思われる企業(「従業員が組織・職場とのつながりを感じにくくなっている」に「そう思わない」と回答、または、「会社の理念や経営方針は従業員に浸透している」に「そう思う」と回答した企業は、そうではない企業に比べて、「心の病」が「増加傾向」と回答した割合が10ポイント以上低い結果となった。
ストレスチェック制度の目的(複数回答)については、「法制義務化対応のため」が84.1%と、これまで同様最多となったものの、前回調査(2021年)の91.4%からは減少した。「セルフケアによる不調者発生予防のため」(76.2%)が続き、こちらも前回調査よりも回答割合は減少した。同率で「職場環境改善のため」(76.2%)が並んでおり、こちらはわずかながら回答割合が増加した。
同調査結果は
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/b9d01383c6bb435731afd9d9d94b790c_4.pdf