産労総合研究所がこのほど発表した「2023年度教育研修費用の実態調査」結果(有効回答数147社)によると、教育研修費用の総額を回答企業の正規従業員数で割った「従業員1人あたり研修費用」の2022年度実績額の平均は3万2412円だった。1人あたりの教育研修費用は、コロナ禍となった2020年に大きくに減少したが、今回の調査ではコロナ前の水準に戻りつつある傾向がみてとれる。
一方で、オンライン化による研修の効率化(回数や交通費の削減など)、必要な研修の整理・統合などを図っている企業もあることなどから、今後の動向も注意する必要がある。また、今後(1~3年)の教育研修費総額の見込みについては、「かなり増加する見込み」が9.7%、「やや増加する見込み」が53.1%で、増加見込みの企業は合わせて62.8%と6割強となった。
増加見込みの企業はだいたい5割前後で推移しており、2020年度に3割弱と大きく落ち込んだが、その後回復、2023年度調査ではここ10年ほどで最も高い増加傾向となった。「増加」見込みの理由としては、「コロナ禍が落ち着いたことで研修全体の見直しを検討しているため」、「コロナ禍で中断していた研修を再開するため」、「経営方針として人材育成に力をいれるとしているため」といった声が挙がっている。
また、2023年度(今年度)に特に重点的に取り組む教育として、階層別教育8項目、職種別・目的別教育14項目のなかから3つまでを選んで回答してもらったところ、最も多かったのは、例年同様、「新入社員教育」(階層別教育)だった。次いで、「中堅社員教育」(階層別教育)、「選抜型幹部候補者育成教育」(職種別・目的別教育)、「初級管理者教育」(階層別教育)などとなっている。
同調査結果は