人口減少が本格的に進む一方で、デジタル化の後れも指摘されるなか、ポストコロナを見据え、持続可能な経済社会を構築するうえで、生産性向上の必要性や意義はますます高まっている。日本生産性本部が発表した日本の労働生産性の動向2023によると、2022年度の日本の時間当たりの名目労働生産性(就業1時間当たりの付加価値額)は、5110円だった。1995年度以降でみると、最も高くなっている。
2022年度の時間当たり実質労働生産性上昇率は、+0.7%。経済正常化に伴う付加価値拡大が生産性上昇の最も大きな要因になった。2022 年度は4~6月期こそマイナスだったものの、7~9月期から2023年1~3月期まで3四半期連続でプラスが続いている。上昇率がプラスになったのは2年連続だが、2021年度(+1.6%)から0.9%ポイント落ち込んでおり、やや不安定な推移を辿っている。
2022年度の日本の一人当たり名目労働生産性(就業者1人当たり付加価値額)は836万円となり、2年連続で上昇。実質ベースの一人当たり労働生産性上昇率は前年度比+1.0%で、前年度から1.6%ポイント落ち込んだ。労働生産性は、就業者一人当たり(+1.0%)よりも就業1時間当たり(+0.7%)のほうが上昇幅が小さいが、これは正社員が多い一般労働者に加え、パートタイム労働者でも労働時間が増加していることが影響している。
主な産業の労働生産性の動向をみると、「サ-ビス産業」の労働生産性上昇率は、消費税率引上げ(2019年第4四半期)と最初の緊急事態宣言の発出(2020年第2四半期)で大きく落ち込んだが、その後も低迷が続いている。主な業種をみると、「小売業」では、経済正常化を背景に、2022年第1四半期から概ね上昇傾向が続いている。賃金も、人手不足などを背景に上昇傾向にある。
「飲食店」は、コロナ禍で労働生産性が大きく落ち込んだ後にいったん回復したものの、2021年から2022年にかけて低迷が続き、2005年以降で最も低い水準で推移。一方、賃金は足もとでコロナ前を上回る水準まで上昇。「製造業」は、2021年度にはコロナ前水準を回復したが、2022年度に入るとやや伸び悩んでいる。電子部品・デバイスで、半導体が供給過剰に転じて生産活動が低迷したため、労働生産性が落ち込んだことなどが影響した。
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https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/trend_summary_2023.pdf