労務費の価格転嫁、「全くできていない」企業が27%

 日本商工会議所が発表した「LOBO10月調査」結果(有効回答数1964社)の「コスト増加分の価格転嫁の動向」によると、発注側企業との「価格協議の動向」について、「協議を申し込み、話し合いに応じてもらえた」は65.4%、「コスト上昇分の反映の協議を申し込まれた」は9.0%、合計で「協議できている」企業は74.4%と、過去最高を記録した2023年4月調査の78.2%から3.8ポイント減少しているものの、依然7割超と高水準だった。

 「価格協議の動向」を業種別にみると、製造業と卸売業は8割超と高水準だが、小売業とサービス業は6割台にとどまる。また、従業員規模別にみると、従業員10人未満の小規模企業で7割を下回る。コスト増加分の「価格転嫁の動向」について、「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業は55.3%と、2023年4月調査の55.9%から0.6ポイント減少。高騰が続くコストに対して価格転嫁のモメンタムは一定維持されているが、進捗は足踏み状態だ。

 「価格転嫁の動向」を業種別にみると、卸売業は「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業が7割超と高水準だが、サービス業は約3割と低水準。また、従業員規模別にみると、従業員10人未満の小規模企業で平均を下回る。コスト増加分のうち労務費増加分の「価格転嫁の動向」について、「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業は34.7%と、「コスト全体」の55.3%を大幅に下回った。

 また、労務費増加分を全く価格転嫁できていない「0割」の企業も26.7%と3割に迫る。労務費増加分の「価格転嫁の動向」を業種別にみると、建設業は「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業が47.9%と5割に迫るなど他業種と比較して高水準だが、サービス業は24.4%と3割を下回る。「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業を従業員規模別にみると、従業員10人未満が30.1%と最も低水準だった。

 価格協議を行うにあたり希望する支援策(複数回答)は、「自社にて対応可能なため支援策は必要ない」が34.1%と最も多いが、「価格協議が実施できていない」企業では約2割まで減少。次に、「労務費の価格転嫁のためのガイドライン」が3割を超え、価格協議が実施できていない企業では4割に迫る。「価格協議できている」企業では「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業が7割を超えるが、「協議できていない」企業では3割を下回る。

 同調査結果は

https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/LOBO202310.pdf