1~9月の新規上場企業数86社、前年同期比19社増

 EY新日本有限責任監査法人が発表した日本の新規上場動向によると、2023年1月~9月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値2万5716円でスタートし、円安・ドル高基調などの影響を受け3月には2万8千円台となったが、米国での銀行破綻をきっかけとした欧米の金融システム不安などから一時2万6千円台に下落。しかし、その後は再び上昇を続け7月には3万3753円の年初来高値となり、9月最終日終値は3万1857円となった。

 そのような市場環境の中で、新規上場企業数は、86社となった。前年同期(2022年1月~9月)と比較した場合19社増となる。市場別にみると、全体の53.4%にあたる46社が「東証グロース」に上場し、新興市場合計で全体の80.2%を占めている。業種別では、「情報・通信業」33社(昨年同期21社)、「サービス業」20社(同24社)、それぞれ新規上場企業全体の38.4%及び23.3%を占め、他の業種社数との開きが昨年同様に見られる。

 本社所在地別では、全体の62.8%にあたる54社の本店所在地が「東京都」であり、依然として東京都が中心。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中している。また、赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はグロースに上場した13社、TOKYO PRO Marketに上場した2社あり、またTOKYO PRO Marketを除いた新規上場企業においては、初値が公募価格を上回った会社は12社あった。

 直前期の売上高の分布をみると、「10億円未満」の企業が16社(18.6%)、「10億円以上50億円未満」の企業が36社(41.9%)であり、全体の約3分の2程度を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めている。売上高が200億円を超える新規上場企業は、「東証プライム」1社、「東証スタンダード」3社、「東証グロース」4社、「TOKYO PRO Market」2社の合計10社にとどまっている。

 初値時価総額の分布をみると、「50億円未満」の企業が27社(31.4%)、「50億円以上100億円未満」の企業が15社(17.4%)であり、全体の約2分の1程度を占めている。500億円を超えた企業は10社(11.6%)あり、昨年同期(1社、2.0%)と比較して大幅に増加している。マザーズ市場とジャスダック市場及びグロース市場の平均初値時価総額は285億円と、前年同期の138億円と比較して大幅に増加した。

 監査法人別では、「EY新日本有限責任監査法人」10社(11.6%)、「有限責任あずざ監査法人」が9社(10.5%)、「有限責任監査法人トーマツ」7社(8.1%)、となり3法人合計で1/3に届かない一方で、中小規模等のその他の監査法人の割合が増加しており、新規上場において担う役割が大きくなってきていることがうかがえる。

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